スーパー台風、線状降水帯、ゲリラ豪雨…日本に迫る危険な水害 《水害発生率98%》時代の今「あなたの町も例外じゃない…」

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「台風の進路から離れていれば安心」と思ってはいけません。台風から離れた場所でも「遠隔豪雨(遠隔降水)」という大雨が起こることがあります。2024年台風第10号の際には、台風の中心が九州地方にある段階で、東海地方が大雨になりました。

上部の遠隔豪雨のしくみ
(『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』より)

台風は非常に多くの水蒸気を伴っており、台風本体の雨雲がかかっていない地域でも、南から多量の水蒸気が流入して山地の斜面で持ち上げられ、雨雲が発達して大雨になることがあります。さらに台風の中心から1000km以上離れた場所でも、梅雨前線や秋雨前線などの停滞前線があると、大雨が発生することがあります。

遠隔豪雨のあとに台風本体がやってくると、さらに雨量が増えて大規模な水害が発生することも。台風の中心から離れた地域でも油断は禁物です。

地球温暖化が原因で東京に接近する台風や、九州での集中豪雨が増えている

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『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』(KADOKAWA)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

日本では、地球温暖化が原因と考えられる台風や豪雨が増えている状況です。過去40年のデータを使って調べた研究では、東京都などの太平洋側の地域に接近する台風の数が増えています。とくに東京都に接近する台風の数は、この20年で1.5倍になったとされています。

また、集中豪雨をもたらす線状降水帯は、全国どこでも起こりえます。とくに梅雨の九州では、明け方から朝に集中豪雨が発生しやすく、過去47年間で7.5倍にも増えています。

今後はスーパー台風のような強い台風や集中豪雨などの水害への備えを強化する必要があります。台風が接近しているときには、自分の住まいが進路のどこにあたり、いつどんな影響がありそうなのか、早めに確認すること。集中豪雨が予想されるときには、前日の明るいうちから避難するよう心がけましょう。

荒木 健太郎 雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・博士(学術)

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あらき けんたろう / Kentaro Araki

1984年生まれ、茨城県出身。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒業。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、災害をもたらす雲のしくみを研究している。映画『天気の子』気象監修。『情熱大陸』『ドラえもん』『おはスタ』など出演多数。著書に『すごすぎる天気の図鑑』シリーズ(KADOKAWA)、『空となかよくなる天気の写真えほん』シリーズ、『読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし』などがある。 X・Instagram・YouTube:@arakencloud

 

 

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