有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #トランプタリフショック

円高の次は台湾ドル急騰、“逆アジア通貨危機”は前兆か...いくら「為替は関税交渉の争点ではない」と否定しても「米ドル凋落」の自滅リスク

6分で読める 有料会員限定
  • 唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

INDEX

トランプ大統領の望む「ドル安」は望まぬ展開を招く(写真:Bloomberg)
本記事は2025年5月10日6:00まで無料の会員登録で全文をお読みいただけます。それ以降は有料会員限定となります。

日本がゴールデンウィークで連休に入った中、為替市場では「逆アジア通貨危機」というフレーズが飛び出すほどアジア通貨の騰勢が話題を集めている。

5月5日のアメリカ時間には、台湾ドルが対ドルで2022年4月以来、約3年ぶりの高水準まで急騰したことが報じられ、1日の変動率としては1988年以来で最大だったことも取りざたされた。

きたるべくアメリカとの関税交渉で、台湾側が台湾ドルの対ドル相場切り上げで合意したという観測が強まった結果だが、頼清徳・台湾総統は5日、「台湾に対するアメリカの貿易赤字の原因は為替レートとは全く関係がなく、交渉で為替レート問題が取り上げられることは当然ない」と事態の鎮静化に向けて緊急の声明を公表している。

その上で、台湾中央銀行からも楊金龍総裁が会見において「外国為替市場について無責任な投機を行わないよう厳粛に要請する」と述べるなど、思惑主導の台湾ドル上昇を明確に牽制している。

「対米黒字国は通貨切り上げ」の思惑

5月に入ってからの主要通貨の動きを見ると、台湾ドルを筆頭としてアジア通貨の騰勢はやはり目立つ。「大きめの対米貿易黒字を抱えるアジア諸国は通貨切り上げを強いられる」との思惑が先行している様子が見て取れる。

確かに、逆アジア通貨危機とも形容できるような現象だが、多分に思惑主導であるという脆弱性も否めない。

こうした材料や値動きは、すでに交渉のトップバッターとして登場した日本の円が4月に経験した相場と酷似している。その後、「関税交渉の中で為替は争点化していない」という事実が日米当局者から確認され、円高の流れが一応収まったことを思い返したい。

現状は関税交渉を理由にした自国通貨高相場が、日本にワンテンポ遅れて他のアジア通貨に波及しているという解釈が妥当だろう。しかし、当局者の確固たる発言抜きに思惑が先行した日米交渉における円相場と同様、台湾ドルやその他のアジア通貨に対し切り上げ要求が公式に行われたという証跡はなく、まずは静観したいテーマである。

2/3 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数