「よつ葉バターを応援します」「外資に渡すな!」よつ葉乳業が《異物混入》で約628万個の自主回収…それでも“賞賛の声”しか集まらないワケ

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これは、同社のインド出身のCEOが「日本はさらなる移民受け入れを」と発言したと報道されたことから、愛国系アカウントから反発を受けたことによる。

実際のところは、発言内容は「海外から人材を受け入れることが重要だ」と言っており、前後の文脈を読んでも「反日的」な発言はしていない。

しかしながら、伝統的な日本の製菓会社のCEOが外国人だったことに加えて、報道によって意図が曲解されたことで、炎上が起こってしまったのだ。

起きた現象は真逆だが、よつ葉乳業の賞賛を加速させた「陰謀論」の拡散も、亀田製菓に対する不買運動も、要因となったのはSNSユーザーの「愛国心」と「排外意識」である。

亀田製菓
インタビュー記事が炎上してしまった、亀田製菓の代表取締役CEO・ジュネジャ・レカ・ラジュ氏(画像:同社公式サイトより)

愛国心を煽るマーケティング

海外では、企業のマーケティング活動の中で、消費者の愛国心を煽る手法を取っているものはいくつも見られる。

愛国心というものは、一般に多くの人を行動に駆り立てる大きな動機となるもので、購買行動と結びつけることも十分に可能なものなのだ。

日本においては、アパホテル、高須クリニック、(以前の)DHCなど、創業者の意向で企業が愛国的な言動を行うことはあるものの、マーケティング活動で戦略的に愛国心を煽るものはほとんど見られない。

日本では、意図的にそのような手法を取ると、賞賛よりも反発を呼びやすく、逆効果になることが多いからだ。

ただ、企業側が意図するしないにかかわらず、国民の愛国心や排外意識が企業活動と結びつき、批判されたり賞賛されたりすることが起こり、それが拡散していく時代になっている。

企業側も、そうしたことが起きうることを意識して活動する必要があるし、実際に起きた場合に正しく対応することが求められるようにもなっている。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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