企業の競争力を左右する「英語力」育成の実践戦略 人事施策と英語力向上に資するツールとは?

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一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(ⅡBC) 常務理事 永井総一郎氏
常務理事 永井 聡一郎
多様な文化や国籍を持つ人々と協働できる「グローバル人材」の育成は、企業にとって喫緊の課題となっている。その育成においてカギとなるのが、実践的なビジネスコミュニケーション能力を備えた英語力だ。企業が求める英語力の効果的な育成方法とは何か。TOEIC Program事業を通して、グローバル人材育成を長年支援してきた一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会の常務理事 永井聡一郎氏に聞いた。

「英語力」は業務必須スキル

――企業における英語の必要性はどのように変わってきているのでしょうか?

少子高齢化による国内市場規模の縮小やインバウンド需要などの影響により、日本企業が海外に視野を広げている状況が続いています。さらに、業務で英語を使う社員の裾野も広がっているのが現状です。Web会議ツールの普及により海外とも手軽にミーティングができる時代になり、従来のように一部の社員が海外の取引先や拠点とやり取りをするだけでなく、さまざまなメンバーが自分の言葉で意思疎通することが求められるようになりました。このコミュニケーションのスピード感や質の違いはビジネスの成否にも影響をもたらします。また、海外人材を採用して社員の多国籍化が進む企業もあります。社員の英語力向上を個人の自己研鑽とみるのではなく業務必須スキルと位置づけ、組織の課題として社員の英語力向上に取り組む企業が増えてきています。

――英語力がますます求められる中、日本人の英語力の現状と課題をどのように分析されていますか?

日本人の基礎的な英語力は決して低くはありませんが、知識をビジネスの現場で効果的に活用するスキルに課題があります。知識からスキルへの転換を促すためには、適切なトレーニングと実践の場が必要です。

完璧な英語を身に付けてから実践の現場に出るという考え方ではチャンスを逃してしまいます。まずは積極的に場に出ていくことが大切です。先ほども述べたとおり、リモート会議などで海外との接点は増えました。積極的にコミュニケーションの場に参加して、実践的な英語をより早くから体験することが重要です。

「英語力」強化戦略で競争力を高める

――従業員の英語力を強化するためには、どのような戦略が考えられますか?

明確で効果的なのは、英語を全社で公用語化するという戦略です。これは非常に大変なことですが、やり切る企業は存在します。そうした企業は経営戦略の中で英語を必須の業務スキルと位置づけ、非常に強くドライブをかけています。ただし、これは企業文化や経営者の考え方に大きく依存し、実際にそこまで踏み切る企業は多くありません。

今増えているのは「隠れ英語公用語化」ともいえるケースです。全社一斉の強制力を持った取り組みとは違うものの、業務上の必要性に合わせて部門単位で実質的な公用語が英語になっている状況です。例えば、IT部門やR&D部門、グローバル人事・総務部門などで見受けられます。こうしたケースは企業のグローバル化が進む中で一般的になりつつあります。また、英語学習を自己啓発と位置づけ、福利厚生としてアプリや教材などの学習コンテンツをそろえたうえで社員それぞれが自主的に学習を進めるよう促す企業も増えています。それぞれの企業が置かれている状況に応じて、トップダウンで強制力を持たせたり、自主性に任せたり、多様な英語教育施策があります。

人事戦略をドライブさせるには企業側が社員の「英語力」を測定することが重要

――さまざまな施策の選択肢がある中でも一貫して重要なポイントはありますか?

人事部門が主体となり信頼性の高いツールによって社員の最新の英語力を可視化し把握することが大切です。学習を社員に任せる場合でも、英語力の測定は会社が主導し、経営・人事がつねに最新の英語力を把握することが重要です。そうすることで、実態に基づいた人事戦略を策定することができ、迅速な意思決定にも役立てることができます。

――その指標としてTOEIC®Programを活用する企業が多いのはなぜでしょうか?

TOEIC Programは、データドリブンな人事戦略に役立てることができます。信頼性が高いデータを取得できるため、そのスコアを配属の参考や海外赴任の基準、昇進・昇格の要件に設定するなど、人事の意思決定に有効なツールです。

最も活用いただいているのはTOEIC Listening & Reading Test(以降、TOEIC L&R)です。TOEIC L&Rは専門家による統計処理や採点管理を行っており、いつ受験しても一貫した評価基準にてスコアが算出される信頼性の高さを評価いただいております。また、会議・メール・交渉など、実際のビジネスシーンを想定したリアルなコミュニケーションをテーマに出題するため、実践的な英語能力を測定できます。そうした背景から、企業においてはTOEIC Programが英語力の指標として広く使われています。

最近では、話す力を測定するTOEIC Speaking Testの需要も高まっています。人が採点することにより、英語の正確さだけでなく、論理性・一貫性、聞き手や状況にふさわしい話し方をしているかなど「伝わるコミュニケーション」であるかどうかを測定できる点をご支持いただいております。

人事担当者にとっても社員にとっても「英語を武器に」するために

――英語力を可視化することは企業の競争力を上げるカギと言えそうですね。

そうですね。人事担当者・社員双方にとって、英語力を可視化するメリットがあります。人事担当者にとっては、会社の成長戦略に寄与する人材を確保または育成するのに役立ちます。社員の最新の英語力を把握することで会社の現状を知り、適切な人材の採用、育成、配置の要件として参考にできます。信頼性の高いツールを用いて英語力を測定することで重要な意思決定の根拠としても利用でき、さまざまな人事施策に横串を通して共通の指標として運用することも可能です。

社員としては、自身の現在地や強み・弱みを知ることで英語学習の計画に生かすことができますし、明確な目標を設定し、定期的な英語力の計測で学習効果を見える化することにより、モチベーション維持や学習計画の見直し、教材の調整などにも役立ちます。

英語力の育成は時間がかかるため、今からの投資が将来の競争力に大きな効果を与えるでしょう。不確実性の高いビジネス環境下で的確な人事戦略を遂行するために、目に見えない英語力を信頼できる「モノサシ」で可視化していくことが重要です。私たちもTOEIC Programを通して皆様の英語施策に貢献できますと幸いです。
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