白いドライバーで絶好調のテーラーメイド社長が語るイノベーションの秘密

■石川遼選手とは、ぜひ契約を結びたい

--アクシネットの入札に参加したという噂だが、実際に入札したのか。

検討は確かにしたとだけ申しておきます。

--アクシネットが韓国資本に買われたことで、ゴルフ市場に変化が起こるのか？

どういう状況になるかはまだわからない。新しい所有者になって初年度は特に変化はなかった。11年のアクシネットはいい業績だった。TMAのほうが上回っているが。

これまでアクシネットは特に米国に商圏を絞っていたが、この買収によって日本や韓国で成長の機会は増えると思う。しかし、口でいうほど簡単なことではないと思う。

--石川遼選手とヨネックスとの契約が来年に切れると言われている（正式には契約年数は公表されていない）。ナイキやTMAが大金を用意して石川選手との契約を取りに来ているということが業界でささやかれている。石川選手への興味は。

石川選手の契約が切れるということなら、ぜひ契約を結びたいと考えている。TMAはすべてのトップアスリートと契約を結びたいと考えている。特に石川選手は日本においてかなりインパクトがあるので、もしそうした期待があるのなら、われわれのチームの一員になってもらいたいと思っている。

--先進国のゴルフ市場は縮小傾向にある。短期的には不況が原因だが、ゴルファーの高齢化といった構造問題もある。市場拡大には何が必要か。

日本市場だけでなく、世界的にゴルフ市場は縮小している。米国、カナダ、日本、英国、韓国で市場の75％を占めている。

こうした市場の活性化には、ジュニアゴルファーを増やしていくことが必要だ。ゴルフの楽しさをジュニアに広めていく努力をしないといけない。

90年代はわれわれもゴージャスなゴルフコースを開発したりしていた。その頃、ジュニアは売り上げにつながらないと重視していなかったが、今は市場活性化にジュニアが重要だと考えている。

もう1つ。ゴルフゲームの伝統的な規律をもう少し緩める必要があるのではないか。ドレスコードやエチケットがあるのでゴルフをしないという人もいる。多くの人が気楽にゴルフを楽しめるようにすることが必要だ。米国ではこうした動きが出てきている。世界中でこうした動きが出てくる必要がある。

Mark King
テーラーメイド・アディダス　ゴルフカンパニー CEO兼プレジデント
1981年ウィスコンシン大学グリーンベイ校卒業、テーラーメイド社入社。87年地域担当セールスマネージャー、90年セールス担当副社長。98年キャロウェイ　ゴルフボール　カンパニーでセールス・マーケティング担当副社長、99年テーラーメイド社に復職、テーラーメイド・アディダス　ゴルフカンパニー社長

（山田雄大　撮影：尾形文繁　＝東洋経済オンライン）