「さすがにフェイク画像でしょ」→まさかの「事実でした」…《「すき家」のネズミ混入事件》で浮き彫りになった、“絶対にマズい”2つの致命的なミス

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異物混入を乗り越えることができた企業の共通点は何だろうか?

主に、以下の3点があげられる。

1. ファンがいる、愛される企業であること
2. 問題への対応が迅速で、徹底していること
3.(不都合なものも含めて)情報公開を迅速に行うこと

不祥事が起きた際に、多くの人に知られることなく、内々で処理してしまいたい――と考えるのは、通常のことだ。ただ、現在ではSNSで誰でも情報が発信でき、その情報がメディア報道以上に広がってしまうこともある時代だ。

起きた問題を隠蔽することは極めて難しくなっている。そうであれば、都合のよい情報も悪い情報も、自分から出してしまったほうがいいし、都合が悪い情報に対しては、対応策、改善策を早々に講じて公表してしまえばよい。

「言うは易く行うは難し」なのだが、それができる企業が、長期的に成功する時代になってきているのだ。

すき家
ネズミ混入が起こった「すき家」鳥取南吉方店では、発生後すぐに一時閉店し、保健所への相談やさまざまな対策をし、発生2日後に保健所の現地確認を受けたうえで営業を再開したという(写真:筆者提供)

「すき家」は愛されている牛丼チェーン

提供している商品・サービスが一定の顧客から受容され、愛されているのであれば、不祥事が起きても擁護してくれるし、利用も継続してくれる。よい情報は積極的に推奨したり、拡散してくれたりする。

すき家はどうか。SNSを見ていても、すき家はほかの牛丼チェーンと比べても、好意的に語られやすい傾向が見られる。業績も好調で、運営会社のゼンショーホールディングスは2025年3月期には売上高1兆円突破が見込まれている。

今回の異物混入への対応は適切だったと言いがたい点は多々あるものの、すき家は今回の苦境を乗り切るポテンシャルは十分に備えているように思える。

これからのさらなる原因究明と、再発防止策を徹底し、十分な情報公開を行うことで、迅速な事態の収束とイメージ回復を図ることを期待したい。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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