「さすがにフェイク画像でしょ」→まさかの「事実でした」…《「すき家」のネズミ混入事件》で浮き彫りになった、“絶対にマズい”2つの致命的なミス
異物混入に話を戻そう。すき家の発表によると「当該従業員が提供前に商品状態の目視確認を怠ったため、異物に気付かずに提供が行われました」とのことだが、この点が事前対応における最大の誤りだといえるだろう。
「こんなに大きなネズミに気づかないことがあるのか」「従業員教育が不十分なのではないか」といった意見も見られた。たしかに、正しい意見だ。ただ、同地域で実家が飲食店を営んでいた身からすると、こうしたことが起きてしまった要因も理解できなくはない。


異物混入が起きた店舗は、鳥取市内にはあるが、鳥取駅から徒歩で行くにはやや遠い。県道26号線沿いに位置し、ドライブスルーも設置されている。いわゆる都市型の店舗ではなく、地方型の車で訪れるような店舗だ。
こうした店舗では、顧客以上に従業員を確保することが難しい。実家の店でもそうだったのだが、学生や主婦の短期アルバイトは確保できるのだが、長期で勤めてくれる人材はなかなか確保できない。飲食店のステータスが低く、優秀な人材が定着しづらいし、優秀な人材は飲食店以外のところに行ってしまいがちだ。
大都市の店舗では外国人スタッフが多く働いているが、地方によっては留学生を除いて、外国人はさほど多くはない。また、外国人をはじめとする多様なスタッフを教育するノウハウが蓄積されづらい。
地方に限らないが、コロナの影響で外食産業から人材が離れてしまっている。コロナが収束した後も、経験がある人材が戻って来てくれるとは限らない。
今回のすき家のケースがどうであったのかは、公表されていないのでわからないのだが、筆者の実感としては、上記のようなことと無関係ではないように思える。
公表が2カ月遅れたダメージは大きい
異物混入は、飲食ビジネスを行う事業者は、細心の注意を払って避けなければならないことだが、完全にゼロにすることは難しい。
異物混入は、大手外食チェーンほどニュースになるが、確率的には個人経営の店舗で起こる確率のほうが高いといえる。一般的に大手外食チェーンの衛生管理の基準のほうが厳しいのだが、店舗数が多ければ多いほど、異物混入が確認される件数は増えるし、確認された後でニュースになる確率も高い。
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