「歯茎をむき出しにした画像、目の下のたるみの画像」不快な広告で埋め尽くされたメディアに未来はあるのか

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そして2023年ごろから問題になっているのがMFA(Made For Advertising)サイト。昨年3月の記事「ネット広告を荒らす『悪意』に社会は勝てるのか」で解説したが、広告を表示するだけの目的の集団がAIを駆使して運営する偽メディアだ。企業の広告費のかなりの部分が得体のしれないサイトに注ぎ込まれてしまっている。アドネットワークに紛れ込むことで広告費をかすめ取るのだ。AIの進化によってその勢いは1年前よりさらに増すばかりだ。

MFAサイトの構造図
記事らしきコンテンツのあらゆる隙間に広告が貼られる。実在のMFAサイトをもとに筆者作成

運用型広告費は米国巨大IT企業に吸い取られている

MFAを超えて問題を感じることがある。3月12日にインターネット広告費の詳細が発表された。いくつかの切り口で3兆6517億円の中身を解説している。広告種別ではビデオ広告が前年比23.0%増の8439億円、ソーシャル広告は前年比13.1%増で1兆1008億円だった。インターネット広告費の成長は動画やSNSが中心で、オールドメディアを脅かしている。

さらにインターネット広告費から制作費などを引いたインターネット広告媒体費2兆9611億円の中身を取引手法別で見ると、なんと運用型が2兆6095億円で88.1%を占めていた。出稿先が決まっている予約型広告は9.4%に過ぎない。ネット広告はほとんどがどこに表示されるかわからない運用型なのだ。

運用型だらけだから新聞雑誌デジタルは表示がむちゃくちゃになり不快な広告がまかり通る。そして主力は動画とソーシャル広告。

ここでよく考えてほしいのだが、動画広告と言えばYouTube、ソーシャル広告と言えばXやFacebookにInstagram。それらはほとんどが運用型でもある。日本のぐんぐん伸びるインターネット広告費はアメリカの巨大IT企業に吸い取られているのだ。

XのCEOはイーロン・マスク氏だ。トランプ政権ではあらゆる予算を削りまくり、USAIDが支援していた世界中の活動が次々にストップしている。Facebookを運営するMeta社はせっかくはじめたファクトチェックをやめてしまった。GoogleのピチャイCEOもトランプ大統領就任式の席にちゃっかり座っていた。

Facebookでは昨年、著名人の名前と写真を堂々とパクった詐欺広告が横行し数百億円も被害が出た。Xではインプレッションを稼ぐためだけの怪しいアカウントがタイムラインを跋扈し、「おすすめ」には偽誤情報やポルノまがいの投稿が平気で並んでいる。

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