「歯茎をむき出しにした画像、目の下のたるみの画像」不快な広告で埋め尽くされたメディアに未来はあるのか
ページをめくると画面いっぱいに広告が表示されたり、動画広告を見ないと進めなかったりで、よりいっそう不快にさせられる。サイト運営は広告のおかげなのだから見て当然とばかりに広告を押し付けてくる。
いまやネット空間は広告無法地帯と化したと言っていいのではないだろうか。2つのサイト以外でも問題が浮上するのは時間の問題だと私は考えている。その無法地帯をもたらしているのはアドネットワークをはじめとする運用型広告なのだ。
伸びない雑誌デジタル、下がってしまった新聞デジタル
2月27日に電通が「2024年 日本の広告費」を発表した。毎年この時期に、前年の広告費をメディア別に集計しているもので、日本の広告動向を考える基礎データになっている。
インターネット広告費は前年比9.6%増で3兆6517億円だった。新聞・雑誌・ラジオ・テレビを合わせたマスコミ四媒体広告費は2兆3363億円なので、その1.5倍以上だ。
ただ、ネットメディアがオールドメディアに取って代わったわけではない。ネットにおけるメディアと呼べるものの多くは実は新聞と雑誌のデジタル版で、インターネット広告費のごく一部でしかない。電通のデータではその金額も出しており、雑誌デジタルは637億円と少なく、新聞デジタルはたったの195億円だ。しかも、その伸び率はインターネット広告全体と比べると低い。雑誌デジタルは前年比4.3%増、新聞デジタルに至っては前年比6.2%減と大きく下がってしまった。
ぐんぐん伸びるネット広告市場にいれば伸びそうなものだが、2022年まではなんとか食い下がっていたのに落ちこぼれてしまった。

新聞がデジタルで稼げないのは、何よりDXに手をつけるのが大きく遅れ、時代に取り残されたからだ。業界として反省すべきだろう。
だがそれとは別に、ネット広告が運用型だらけであることが新聞雑誌のデジタル版にネガティブに働いた。何しろネット広告は薄利多売に陥っている。だから所狭しと広告を表示し、広告を見ないとページをめくれなくしてしまう。広告の中身の審査がゆるいから性的広告や不快な広告が平気で表示され、そのため読者が離れてしまう。私は最近、読みたい記事の見出しをニュースアプリで検索して読むようにしている。本体よりずっと読みやすいからだ。広告が不快なせいで広告費を失うのは本末転倒だろう。
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