京都名物の「年1便・春分の日運行バス」。「乗り遅れたら、次は1年後」のバス成立の背景と、大混雑も「路線は年々減少」のワケ

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しかし、利用状況は「1本平均1,2人」(2017年時点)と伸び悩む。観光利用が少ないだけでなく、通院などで市街地に行きたい地元の人々にとっても、逆方向の山奥にある大原・鞍馬行きのバスは使いづらかったようだ。

2020年には社会実験の一環で、「奥京都MaaS」デジタルチケットのフリー区間に組み入れられたものの、コロナ禍に加えて叡山電鉄の土砂災害による長期不通も発生。周囲の路線ともども、目立った乗客増につなげることができなかった。

こうして、奇跡の復活を果たした55系統は、2024年3月20日をもって運行を取りやめることに。江文峠周辺のバス停は、またしても「年1回しかバスが来ないレアなバス停」に逆戻りしてしまった

消えゆく「春分の日のみ運行」バス 

高野車庫→深泥池→国際会館行きのバス
高野車庫→深泥池→国際会館行きのバス。春分の日のみの運行は2024年をもって終了した(筆者撮影)
お知らせ
2025年2月に「春分の日のみ運行」4路線の休止が発表された(京都バスホームページより)

春分の日が近づくごとに話題にのぼる「京都バス95系統」だが、今後とも運行されるとは限らない。かつて11路線もあった「年1回・春分の日のみ運行」バス路線の完全休止が相次いでいるのだ。

春分の日を1カ月後に控えた2025年2月には、「国際会館駅前~長谷八幡宮~岩倉村松」「高野車庫~一乗寺梅ノ木町~大原」など4系統の休止が発表された。京都バスによると「運転士不足の影響から、路線の維持を行ったとして、将来的に運行が復活する可能性が低い」と判断され、完全休止に至ったそうだ。

それでも、2025年の春分の日には、以下の路線が「年1回運行」を行う。

@95系統 大原(10時50分発)~鞍馬
@30系統 京都産業大学前(13時00分発)~出町柳駅(2023年3月27日ダイヤ改正で「春分の日運行」化)
@90系統 西山高雄(16時30分発)~阪急嵐山駅
@無番 市原(11時50分発)~東北部クリーンセンター~高野車庫
※2025年3月現在

これらも、いつ完全休止→廃止になるとも限らない。といっても95系統・北山バーディー号のような歴史をたどった路線は少ないが、早めに乗車しておいたほうがいいことには変わりない。

【もっと読む】日本初「完全に真横になれる」寝台夜行バスの凄さ 寝心地はいかに?高身長・肥満体の筆者が検証 では、運行を開始した日本初の完全フラット寝台夜行バスの魅力や誕生の背景について、乗り物に詳しいライターの宮武和多哉氏が詳細に報じている。
宮武 和多哉 ライター

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みやたけ わたや / Wataya Miyatake

バス・鉄道・クルマ・駅そば・高速道路・都市計画・MaaSなど、「動いて乗れるモノ、ヒトが動く場所」を多岐にわたって追うライター。政令指定都市20市・中核市62市の“朝渋滞・ラッシュアワー”体験など、現地に足を運んで体験してから書く。3世代・8人家族で、高齢化とともに生じる交通問題・介護にリアルに対処中。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅(既刊2巻・イカロス出版)など

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