野党の秘策「芋づる式弾劾作戦」が崩壊!焦る「共に民主党」と混迷を極める「韓国政局」の現在地

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「監査院長への弾劾訴追は、大統領が非常戒厳を宣告する決定的なきっかけになった。非常戒厳は、野党が芋づる式弾劾などを通じて国政の麻痺を試み、国政秩序を破壊したことにより、大統領は苦心の末、非常戒厳を宣布した。今日まで8人の弾劾が棄却されており、大統領の非常戒厳の正当性が証明されている。大統領への弾劾訴追も迅速に棄却されて当然だ」(3月13日付の国民日報)

憲法裁判所は通常、宣告日の2〜3日前に告知をするが、3月14日も音沙汰はなかった。韓国メディアは、裁判官8人のイデオロギーの傾向が4対4と分かれているため、「全員一致での結果を出すために評議が長引いているのではないか」と臆測している。前出の弁護士も言う。

「パク元大統領のときの裁判官は保守派が多数だったが、全員一致で罷免された。イデオロギーの傾向については関係がないように思う。ただ、評議がまとまらないので宣告しないではないか」

何が起きてもおかしくない状況

8年前のパク元大統領の宣告日には、路上で弾劾反対集会をしていた支持者が警察と衝突するなどして、4人が死亡した。当時は80%の世論が弾劾に賛成していた。ユン大統領の弾劾については、賛成58%、反対37%になっており(世論調査会社「韓国ギャラップ」3月14日)、賛成のほうが多いが圧倒的ではない。

憲法裁判所の周辺は緊急非常体制に入っており、宣告日当日には近くのガソリンスタンドは閉鎖され、幼稚園や小学校も休校する予定だ。

「ロシアから拳銃を密輸し、イ代表を暗殺する」という殺害予告が党に届いたとして、イ代表は身辺警護を強化し、14日から路上デモには参加しないことを明らかにした。

与党議員は「(弾劾が)棄却されれば混乱、認容されれば戦争。戦争よりは混乱がマシ」と語った。与野党双方の国会議員が自ら路上に出て世論をあおっている現状では、何が起きてもおかしくない状況になっている。

菅野 朋子 ノンフィクションライター

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かんの ともこ / Tomoko Kanno

1963年生まれ。中央大学卒業。出版社勤務、『週刊文春』の記者を経て、現在フリー。ソウル在住。主な著書に『好きになってはいけない国』(文藝春秋)、『韓国窃盗ビジネスを追え』(新潮社)がある。

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