野党の秘策「芋づる式弾劾作戦」が崩壊!焦る「共に民主党」と混迷を極める「韓国政局」の現在地

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3月13日には、野党が弾劾訴追した監査院長への訴追が憲法裁判所で棄却された。裁判官8人全員の一致によるものだった。

監査院長の弾劾訴追が国会で可決されたのは昨年12月2日。非常戒厳令の前日だった。ユン大統領は自身の弾劾弁論で、任命した監査院長や閣僚への芋づる式の弾劾訴追により国政が麻痺状態に陥ったとし、非常戒厳はそうした事態を国民に警鐘することが目的だったと主張していた。この日、監査院長に続いて、キム・ゴンヒ大統領夫人の株価操作疑惑を捜査したソウル中央地方検察庁検事長ら検事3人の弾劾訴追も棄却されている。

「芋づる式弾劾」が連発される異常事態

ユン政権に入ってから、「共に民主党」が主導し、芋づる式に弾劾案を提出した件数は29件。歴代政権の弾劾件数の合計21件よりも多いという異常な状態だった。

この29件のうち13件が国会で可決され、憲法裁判所にかけられたが、その13件のうち8件の弾劾が棄却されたことになる。前出の中道系韓国紙記者は言う。

「野党の芋づる式の弾劾訴追はかねて批判の的だった。棄却されたことにより、野党の弾劾訴追が多分に政治的なものだったことが明らかになった。ニュースが大きく取り上げられたことで、弾劾に無関心だった層に野党の芋づる式弾劾への認識がどう広まるのか。次期大統領選をにらんで動いていた野党にとっては大きな打撃だろう」

そもそも、一時は20%台まで落ち込んだ与党の支持率が上昇を見せたのも、野党が昨年12月末にハン・ドクス首相を弾劾訴追したことがきっかけだった。韓国の大手調査会社4社が共同で行った世論調査では、与党の支持率が野党を上回る結果も出ている。“弾劾ブーメラン”がよもやこんな形でかえってくるとは思っていなかったのだろうか。

ユン大統領側の弁護士もさっそく記者会見を開き、「大統領の非常戒厳の正当性がだんだん証明されている」とし、こう訴えた。

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