野党の秘策「芋づる式弾劾作戦」が崩壊!焦る「共に民主党」と混迷を極める「韓国政局」の現在地

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野党がこれほど慌てるのは、イ代表の「司法リスク」があるためだ。現在5つの裁判を抱えているイ代表は昨年11月、公職選挙法に問われた一審で有罪判決が出ており(懲役1年、執行猶予2年)、その二審の判決日が3月26日に迫っている。中道系韓国紙記者が言う。

「『共に民主党』としては、時間との競争で、ユン大統領の弾劾訴追が認容された後でイ代表の判決が出れば国民の関心は罷免認容に注がれて、イ代表の刑事罰についてはその爆風の影に隠れて打撃も少なくうやむやになるだろうとみていた。しかし、ユン大統領の釈放で保守派がさらに勢いづくなど、誤算が生じた。だから、次期大統領選挙をデフォルト(前提)としている野党としては、ともかくイ代表の二審判決の前、それもなるべく早くにユン大統領への宣告が行われなければ、イ代表の大統領選出馬も盤石ではないという危機感がある」

「法曹界は皆おかしいと思っていた」

ユン大統領側は2月4日、勾留を不当だとして勾留の取り消しをソウル中央地方裁判所に請求していた。同地裁は、勾留取り消しの理由として次の2点を挙げている。

1つは、検察による内乱罪での起訴が勾留期間満了後に行われていたこと。もう1つが、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の捜査過程の適法性に関して疑問の余地があることだ。

抗告しなかった検察に対して、野党は検事総長の弾劾をちらつかせたが、抗告できる期間も過ぎた。ソウル中央地裁が勾留期間の計算に通常使われる「日数」ではなく「時間」を用いていたことは現在も物議を醸しているが、保守派寄りの弁護士は「ここで裁判所が主張したかったことは、公捜処には内乱罪の捜査権がないということだ」と、事の本質を指摘する。

「公捜処に内乱罪の捜査権がないことは、公捜処法を読めばわかる。捜査権があるのは警察だが、警察も大統領府の傘下だから、警察・検察・公捜処の三つどもえの捜査合戦になったときに公捜処が捜査に妥当だとされたのかもしれない。公捜処は職権乱用を拡大解釈して捜査を進めたようだが、法曹界にいる者なら皆おかしいと思っていたはず。誰がこれを決定したのかと。また、拘束令状を発付したソウル西部地裁の判事に至っては、軍事上・公務上の機密地域における家宅捜査を制限する条項をわざわざ外して令状を発付した。これはありえないことだった。だから、勾留取り消しは当然といえる」

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