この光沢によるミスマッチは、ワイシャツ選びにも当てはまります。最近では形状安定や形状記憶のみならず、ノンアイロンシャツという名称のものが各社から出ていますが、ポリエステル糸をニット編みしたものが主流です。ウールジャケットに合わせたとき、ワイシャツのテカテカ感が悪目立ちする場合は、化学繊維のジャケットに合わせてください。ではオンオフ兼用スラックスのコーディネートで、「清潔感」を出していく工夫をお伝えします。
オフィスカジュアルを許容する企業が増え、紳士服量販店にもオンオフ兼用スラックスが並びます。カジュアル感の強いスラックスだからこそ、スニーカー通勤や、ビジネスTシャツとの相性がよいことは周知のとおり。もし社内規定で許されるなら、この手の着こなしを試してみてください。
ただし、よくある失敗が「オンオフ兼用スラックスのカジュアル感を抑えようとして、襟つきシャツをタックインする」ケースです。これは「ドレスダウン」という考え方を誤解している方に多く、むしろ悪目立ちするリスクがあります。
ドレスダウンとは、「ドレス感あるアイテムを、キレイめコーディネートで着崩すこと」を差します。そのコツは「上半身と下半身を分けて考える」こと。上半身のドレスダウンは、「外側にくるキレイめアイテムを、インナーで崩す」ことで成立します。逆パターンは途端に難易度が上がってしまうのです。
また下半身のドレスダウンでは、「下(靴)にもってきたキレイめアイテムを、上(パンツ)で崩す」ことで成立します。たとえばスニーカーではなくローファーを履き、ジーンズで崩すスタイルがわかりやすい例でしょう。だからこそスニーカー通勤の場合、ジーンズやチノパンではなく、ドレス感あるオンオフ兼用スラックスがちょうどいいのです。
アイテム単体では社内の服装規定を満たしていたとしても、合わせ方のルールを知らなければ、本人の意図しないところで「違和感を与える」なんていう事態もあり得ます。さいごにスラックスのフォルムについて取り上げます。
ワイドシルエットの許容範囲
最近カジュアルシーンでは、ワイドパンツも定着化してきましたが、その影響から紳士服量販店においても、量販店でもオンオフ兼用のワイドスラックスを見かけるようになりました。女性のオフィスカジュアルでは、男性より受け入れられていますが、男性の場合は誤解を招くリスクがあります。
絶対にNGとは言えませんが、アパレルや出版業界など、「流行を追うことを良し」とする企業ではたらくビジネスマンに限られるのではないでしょうか。ごく当たり前の話ですが、ビジネスファッションの目的は、第一印象が決まる2秒の間に、「話が通じる相手」であることを相手に認知してもらうこと。
まだ定番化していない流行の段階でワイドシルエットを取り入れることは、余計なノイズが出てしまうリスクがあるため、スッキリしたフォルムが安全策になるのです。スラックスと一括りにしがちですが、「素材や用途が違えば、合わせるジャケットも変わる」ということをお忘れなく。とくにオフィスカジュアルが新常識になった昨今では、どんなスラックスを選ぶかはジャケット姿の印象を大きく左右するのです。
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