「リベンジ退職」のリアル 忙しい時期を狙って退職・引き継ぎ拒否… 会社を揺るがす報復劇の実態 代表的なパターンと予防策から見えてくること

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リベンジ退職は、組織に深刻なダメージを与えることがある。

先日、あるIT企業の人事担当者から「優秀なエンジニアが突然辞めて、大きな問題になっている」という相談を受けた。引き継ぎなしの突然の退職。しかも「この会社は将来性がない」と業界内に吹聴していたという話も聞いた。

「これは、今流行の『リベンジ退職』?」

と質問された。おそらくそうだろう。

私の知っている建設会社でも、このようなことがあった。30代の優秀な中堅社員が突然退職し、取引先に「あの会社を支える技術者6人のうち4人が3年以内に定年退職する。若手が育っていないし、もう未来がない」と吹聴したのだ。そのせいで大口の取引先を失った。

残った社員への影響も大きい。ある製造業では、エース級の営業パーソンが退職するとき、同期だけが集まった送別会で、さんざん会社の批判を繰り返した。そして、

「あれほど成果を出したのに、まったく評価されなかった。この会社でどんなに頑張っても無駄だぞ!」

と言い放ったというのだ。その言葉が若手の有望株たちに浸透し、社内に動揺が広がった。やがて「あの人が言っていたことは正しかったのかも」と疑心暗鬼になる人が増え、職場の雰囲気も悪化させてしまった。

このように、一人のリベンジ退職が組織全体の存続を脅かすほどの大きなダメージをもたらすことがある。だからこそ、経営者や人事担当者は、その予兆を見逃してはならない。

リベンジ退職を防ぐ3つのポイント

リベンジ退職を未然に防ぐためには、どうしたらいいのか? 上司は以下の3つのポイントを意識すべきである。

(1)心理的安全性の構築

部下が安心して意見を言える環境づくりが欠かせない。1対1の定期面談を設け、「何か困ったことはないか」「改善してほしいことはないか」と積極的に問いかけよう。

重要なのは、部下の意見を聞いた後の「行動」だ。単に聞くだけなら、誰でもできる。それを「傾聴」とは呼ばない。

「聞くだけ聞いておいて、結局は何も変わらない」

と受け止められたらダメ。聞いたうえで、できることから改善に取り組む姿勢を見せることだ。そうすれば、「意見を言っても無駄ではない」と部下は実感するはずだ。

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