ドイツ次期政権は躍進した「右派AfD」抜きで成り立つのか?現地で各党を直撃!右派を避けつつ移民対策を取り込むアンビバレントな舵取りの行方
選挙結果は、中道保守CDU・CSUが得票率28.5%(前回2021年選挙から4.4ポイント増)、中道左派SPD16.4%(同9.3減)、環境政党「緑の党」11.6%(同3.1減)、AfD20.8%(同10.4増)、旧東ドイツ共産主義政党の流れをくむ「左派党」8.8%(同3.9増)となった。
自由民主党(FDP)、新党のザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)は議席獲得に必要な5%に達しなかった。
オラフ・ショルツ政権を構成していたSPD、緑の党、FDPが敗北し、野党のCDU・CSUは第1党となったものの、支持回復は予想されていたほどではなく、AfDと左派党という右、左の両極が大きく支持を伸ばした。
西ドイツ以来のドイツ政治を担ってきた中道勢力が衰退し、体制に異議を唱えるポピュリズムが拡大した。
AfD議員が語った「政権入りへの2つのシナリオ」

開票結果が固まった翌日24日、下院議事堂近くにある議員会館で、AfD議員のマティアス・モースドルフ氏(59歳)にインタビューした。
同氏は旧東ドイツ・ライプチヒ出身。職業は音楽家(チェロ奏者)で、議会では外交委員会などに所属し、日本の音楽大学で教えたこともある。
「AfDの得票率は2倍になった。2021年の前回選挙に比べてもドイツは政治転換に向かっている」と選挙結果に大いに自信を深めている様子だった。
新政権については、「2つのシナリオがある。1つは向こう2年以内に政権崩壊し、早期選挙でAfDがさらに強くなる。もう1つは、任期中に連立相手を組み替える。われわれはCDU・CSUの政策を子細に検討し、どの政策が一緒にできるか検討する。メルツ氏はAfDとは決して協力をしないと言明しているが、彼は何度も前言を翻している。AfDと協力しないと政治はもはやうまくいかない」と、ほぼ倍増した議席を盾に政権に圧力をかけていく方針を明らかにした。
「メルツ氏が掲げている(国境で不法移民を追い返すなどの)政策を実行に移すのであれば、我々も賛成できる。ただ、CDU内にはそうしたくない勢力もある。CDUはいつも右を一瞥するだけか、それとも目をそらすかだ」と新政権の政策がどうなるか見守る考えのようだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら