一流秘書が教える、好感度を高める「気配り術」 "想像力のない気づかい"はトラブルを呼ぶ

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私は、「もしかしたら車椅子の方も、一般の人と同じ椅子に座って食事をしたいかもしれない」という想像力だと思います。

世の中では「みんながやっていることがベストなやり方」だと思われています。でも、もしかしたら、そうじゃないやり方のほうが、もっと喜んでもらえるかもしれません。伝統的な風習でも、廃止したらみんながラクになってサッパリするかもしれないのです。

当たり前を当たり前だと思わないこと。常に「これより、何かもっといい方法があるのではないか」と想像を巡らせることが大事なのです。

想像力のない気づかいはトラブルを呼ぶ

私がある流通大手企業の経営者の秘書をしていたときのことです。上司が提携先の大手ファーストフード企業との打ち合わせから戻ってきました。

「渡邉さん、これ、こんなにいただいてきちゃった」と言って見せてくれたのが、コーヒーの無料チケットの束。その後上司が、「こんなにあるから1階の自社系列のドラッグストアのレジ横にでも置いてもらうかな」と独り言のように言っているのが耳に入ってきました。でも上司はすぐに次の予定が入っていたので、チケットの束を机の上に置いたまま、外出したのです。

そこで私は気を利かせて、上司の代わりにそのコーヒーチケットを同じフロアの全員の机に配って回り、余った分をドラッグストアのレジ横に置かせてもらいました。

翌日、その出来事を知った上司から電話がかかってきて言われたのは、「全部回収して」。

その日は土曜日で会社は休み。オフィスに電話をかけたら、幸い休日出勤している人がいたので頼んで回収してもらいましたが、コーヒーチケットの3分の1以上は、すでに社員の机の上にはありませんでした。上司に電話をかけると、すでに自らドラッグストアに行ってチケットを回収してきたらしく、「回収できるものは僕が回収してきたから、もういいよ」と電話を切られてしまいました。

月曜日に重い気分で出社すると、案の定、きつくお叱りを受けました。

上司は、そのコーヒーチケットを適当にばらまくだけではお互いの企業がWin-Winにならない、どうすれば有効に使えるか熟考していたのです。単にコーヒーを引き換えるだけではお店にはメリットは生まれない、そのほかのメニューもオーダーしてもらうにはどういう人にターゲットを絞ってチケットを配布すべきか考えていました。

言われてみれば上司の口癖は、「1つの事象に対して、いろいろな側面からできるだけ多くの戦略を考えろ」というもの。それをずっと叩き込まれてきたのに、私は何も考えずに、ただ早く処理することだけを目的にしていました。

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