食感がふわふわ!「防災パン」が誕生した裏側 防災パンの印象が一変する「まもるんパン」

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「外出自粛も影響し、食パンが余ってしまうこともありました。せっかくこだわって作った自慢のパンを、より多くの方に届けるにはどうしたらよいかと考えた結果、缶詰に入れるというアイデアが生まれました。もともと防災食として開発したわけではなかったのです」(アートジャパンナガヤ設計 営業部次長 中井一貴さん。以下同)

こうして、こだわりのおいしいパンを無駄にしたくないという思いから誕生した「まもるんパン」。同時に、より長持ちさせ、より多くの方、より遠くの方にも届けられるようにしたいと考えた。

また、無理なく使いやすいローリングストックとして、もっと楽な気持ちで防災備蓄に取り組む意識も持ってもらいたいという願いも込めて、ナマケモノをイメージキャラクターにした。

開発に約2年、国産バターや乳酸菌を使用

まもるんパンの開発には約2年を要した。防災パンとしては珍しく、国産バターや乳酸菌を使用することで、ふんわりときめ細かな食感を実現。おいしさと同時にこだわったのは、できる限り余計なものを加えないこと。人工甘味料や合成保存料を使用せず、おいしさと保存期間のバランスを追求した。

「試作では数カ月でパンが変質してしまったり、変色してしまうことがありました。数十種類以上の配合を試したり、発酵や焼成に関する条件を変えたり、使用機器を変えてみたりしながら、ようやく目指している商品が完成しました」

防災パン まもるんパン
まもるんパン(写真:筆者撮影)
まもるんパン 防災パン
まもるんパン(写真:筆者撮影)

ここで役立ったのが、同社がこれまで手がけてきたクリニック建設事業の経験だ。クリニックや病院の衛生管理に関する幅広いノウハウを活かし、手術室などでも利用されるオゾン抗菌技術を「オゾン殺菌ラボ」として導入した。

オゾンは人体への影響もあるため、人の出入りのない夜間を利用してオゾン発生装置を稼働させ、空間や機械に付着した菌を隅々まで除菌。作業中の時間帯は紫外線と低濃度のオゾンを放出し、脱臭や静菌を行っている。これにより、24時間衛生的な空間でのパン作りを実現させた。

まもるんパン 防災パン
工場内にあるオゾン発生装置(画像:アートジャパンナガヤ設計提供)

こうして誕生したまもるんパンをより多くの人に知ってもらうために作られたのが、2024年5月にオープンした「Bread Wonder Factory まもるんパン」(岐阜県羽島市)だ。

地域の防災啓蒙の発信拠点としても、特に子どもたちに防災を身近に感じてもらえるよう、オリジナルの絵本の配布や読み聞かせも行っている。

防災パン まもるんパン
Bread Wonder Factory まもるんパン(写真:筆者撮影)
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