予算案の衆院通過、複雑に交錯する各党の明暗 自公「安堵」立憲「埋没」維新「迷走」国民「高揚」

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もちろん、修正協議の自民党の司令塔だった森山氏は「一に国民民主、二に維新、最後に立憲を標的に調整工作を進めた」(同)とされる。これは、昨秋の衆院選で議席4倍増と大躍進した国民民主への有権者の支持の大きさを意識し、「政権運営の安定化には、国民民主との連携が最優先」(同)と判断からだった。

しかし、「国民民主が掲げる『対決より解決』のお株を奪うように、自民にすり寄ってきた維新の動きが、森山氏らの調整工作の軌道修正につながった」(同)とみられている。とくに、大阪在住の吉村氏より国会対応の経験が豊富な前原誠司共同代表が調整工作の“主役”を務めたことが、「自公維合意の決め手となった」(自民幹部)ことは否定できない。

そもそも、前原氏はいわゆる「鉄っちゃん」と呼ばれる“鉄道オタク”として石破首相との長年の親交があり、しかも、安保防衛の専門家としての「共通認識」も保持してきたことで、「昨年暮れに極秘で行われた石破・前原会談が、『自公維合意』への道筋をつけた」(同)とみられている。

与党、「壁」引き上げで自公国連携になお執着

ただ、自民は国民民主との連携にもなお執着する構えで、玉木国民民主代表の“金看板”ともなる「若者の手取りを増やすための、『年収103万円の壁』見直し」に対する「現状での実現可能な案」として、今回の予算案修正の中で「年収制限付きで所得税の課税最低限を160万円に引き上げる」との案を提示、結果的に維新の賛成で衆院を通過させた。

その際、自公維3党幹事長は、「『年収の壁』は178万円を目指し、ガソリン税の暫定税率を廃止するとの自公国3党の合意について『自民、公明両党は、今後とも誠実に対応する』」との合意文書に署名することで国民民主への配慮も示した。ただ、玉木氏らは「これでは手取りは増えない」として、今後の対与党交渉で改めて「178万円の満額実現」を求め続ける構えだ。

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