世界一幸福な社会は「お金で買える親密性」の賜物 『希望格差社会、それから』が描く日本のリアル

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現実にしている仕事で努力が報われないと感じ、さらに、将来就きたいと思う仕事(専業主婦も含む)にも努力しても就けないと思う人たちの行き場が、バーチャルな世界である。リアルな仕事とは別の所で、努力が報われる場を、「擬似仕事」と呼んでおく。(159ページより)

いうまでもなく、擬似仕事の代表例がパチンコである。パチンコは一部のプロを除けば、経済的には「消費活動」に位置づけられる。しかしパチンコにハマる人にとっては、消費である以前に一種の仕事的な意味を持つものでもある。なぜなら、「努力すれば報われる」と思えるからだ。

また、同じことはゲームにもいえそうだ。わざわざゲームセンターに出向かなければならなかった時代とは違い、現代では自宅でネットゲームをしていれば仲間と出会うことが可能だ。そして協力しながら課題をこなし、高得点を得るという“成功体験”を得ることができるのである。

しかもそれが通勤途中の電車内でも可能なのだから、まさに現実の希望格差をバーチャルな世界で埋め合わせているのだ。

擬似家族、疑似恋愛に求めるもの

戦後、昭和の時代には、ほとんどの人が結婚し、多くの人が子どもを産み育て、離婚しないまま高齢を迎えることができた。しかし現代においては、親密な家族がいなかったり、家族を持ちながら親密性を実感できない人も少なくない。

親密性の格差が広がって、リアルな「家族」関係で親密性を体験できない人が増えているともいえるようだが、その格差を埋めているのが疑似家族、疑似恋愛だということだ。

なお、擬似家族、疑似恋愛にもさまざまなタイプがあるものの、大まかには3種に分けられるという。

それぞれ、①ペット、②推し、③お金で買われる親密性、である。①②は女性が多く、③は男性に多いという特徴はあるが、これらの関係は、性別を越えて広がっている。さらに、独身者だけではなく、既婚者にも広まっていることがわかる。(167ページより)

さらにいえば近年は情報技術の発達のおかげで、④VR世界上の親密関係の生成というべきものも出てきているともいえるだろう。

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