今、欧州は非常に危険な情勢にある。1つでも手を間違えれば、いつでも欧州全土を巻き込むロシアとの戦争に発展する可能性がある。
「勇ましいこと」にこだわるのは危険である。わが国の戦前・戦中の世論や日露戦争終結後の国民の政府批判を想起してもらいたい。
戦争は適切なタイミングでやめなければならない
日露戦争では、賠償金を勝ち取れずにポーツマス条約を締結した小村寿太郎外相は弱腰だと世論に激しくたたかれた。だが、もし交渉が決裂し、戦争が続いていたらどうなっていただろうか。
もっと良い条件が得られたとはとても思えない。日本が負けていたかもしれない。戦争が起きたならば、必ず適切なタイミングでやめなければならない。これがリアリズム政治の英知であるはずだ。
だが今回、トランプ大統領とゼレンスキー大統領との間の信頼関係が決定的に損なわれたことで、トランプ政権の和平構想(プーチン大統領とゼレンスキー大統領の間の和平)は頓挫した。
そもそもプーチン大統領はゼレンスキー大統領を相手に停戦交渉をするつもりがないため、トランプ政権の和平構想はゼレンスキー大統領なしのバージョンになる可能性が高い。
石破茂首相は、今回の会談について「アメリカの側にもウクライナ側にも立たない」と述べた。アメリカの変化を機敏に感じていることがうかがえる対応だ。日本政府には大局を見据えた慎重な舵取りを期待したい。
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