東大はお得?脱中国した新移民たちの「受験熱」 SNSで合格マウント、文京区の人気が高まる

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男性の言う通り、2月上旬、中国の画像共有SNS「小紅書(rednote)」には、「筑波大附属駒場」など難関中学の合格通知書、校門前での記念写真をアップした投稿がずらりと並んだ。

筆者が確認できただけでも中国語での筑駒の合格報告は3件あった。同校の繰り上げ合格を報告するある投稿は、「息子が『開成もいい学校だよ』と言うので私も気持ちを切り替えようとした矢先に、筑駒から電話がかかってきた」など“戦いの記録”を長文で綴っていた。

女子御三家の一校である桜蔭の合格を報告した投稿には「いつからSAPIXに通っていましたか」などコメントが多くついていた。

教育移住の指標「3SK1」

在日中国人がSNSを通じて中国語で発信した日本の「教育情報」「受験情報」は瞬時に国境を超える。人が自由に動けないコロナ禍においては、情報源としてのSNSの存在感が一層高まった。

2022年春の上海ロックダウンを機に、中国ではより豊かな国へ移住する「潤(run)」が加速した。潤はインターネットから生まれた流行語で、中国語の発音「run」が英語で「逃げる」という意味を持つことから、「国から逃げて潤う」ことを指す。

潤の潮流の中で、日本にも一定の経済基盤を持つ「新移民」が流れ込んでいる。日本語を学び、日本社会に努力して溶け込んできた2000年代の移民と異なり、新移民はSNSで同胞から情報収集する。

小紅書や中国版TikTok「抖音(Douyin)」で検索窓に「3SK1」と打ち込むと、多数の解説投稿がヒットする。難関大学が集積し、教育に関心が高い家庭が多いとされる文京区に位置する公立小学校「誠之小学校」「千駄木小学校」「昭和小学校」「窪町小学校」の頭文字を取った3SK1は、教育移住を検討する中国人の「指標」としてあっという間に広がった。

中国人向けにインバウンド不動産事業を展開する経営者は、「事業を始めた2010年代半ば池袋の物件が圧倒的に人気だったが、次第に子息の留学を視野に早稲田大学や東京大学に近いエリアのワンルームの引き合いが増えた。今は都心3区、都心5区という言葉も知られるようになり、都心5区と文京区の問い合わせが多い」と明かした。

新移民の流入が顕著になった2022年から2025年の東京都23区の中国人人口伸び率を比較すると上位から港区、渋谷区、文京区、中央区、千代田区となる。都心5区と文京区の人気ぶりがよくわかる。

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