「怒りと恐怖」会談に見るゼレンスキーの指導者像 優位な立場を利用するトランプ大統領とは対照的だった
一方、ゼレンスキー大統領に目立った感情は、怒りと恐怖でした。自身の主張を展開するとき、怒りの表情が見られます。しかし、トランプ大統領に視線を向ける場面では、怒りではなく、額を強張らせる恐怖表情が目立ちます。視線の向けられる先が、感情が向けられる先です。
不屈の闘志と対人感情に対する配慮
つまり、怒り表情は、トランプ大統領に向けているのではなく、承服できない条件、プーチン大統領の行為、そして自国の苦境を理解してもらえないことに対して向けられていると考えられます。
一方、意思決定者であるトランプ大統領に向けている感情は、恐怖です。言い換えると安心・安全を求める感情ともいえるでしょう。
一国のリーダーとして承服できないこと、侵略行為、理解されない苦境には強い表情で不屈の闘志を伝えます。そして意思決定者本人(この場合はトランプ大統領)には、安全・安心を求める表情で願いを訴える。一方的に主張を通そうとするトランプ大統領を相手に会談は破談しましたが、ゼレンスキー大統領は、こうした感情を使い分ける交渉者であることがうかがえます。
優位な立場を利用して力で要求を押し通そうとするトランプ大統領と、リーダーとしての闘志と対人感情に配慮したゼレンスキー大統領。両大統領の対照的な特性を垣間見ることのできた会談だったと言えるでしょう。
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