"思わず号泣"鈴木おさむ新作に集まる「共感の声」 映画「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」
加えて、本作が示唆的に描くのは、18〜20歳の2年間が人生でいちばん大事なことを選択する時期であるのと同時に、その選択や決断が、その後の自身の人生だけでなく、彼らの子どもを含めた未来の家族にも影響を与えるということ。
20歳までは“若気の至り”という言葉がギリギリ通用する時期かもしれない。しかし、もしその選択が、後に自身の子どもや家族を苦しめることにつながると知っていたら、どうするか。それは、誰もが大人になってから気づくことだろう。
本作には親の願い事のせいで苦悩する息子の姿がある。一時のエゴや欲が、巡り巡って未来の家族の人生に重くのしかかる。それが生涯ついてまわるかもしれない。そんなことを映す本作から、若者たちが得る気づきは多いに違いない。
4人の高校生がたどり着いた答え
本作の4人のうち、高校を卒業した18歳の時点に願い事をしたのは1人だけ。残り3人は願い事をしないまま、1人は東京の大学に進学し、1人は地元で就職し、もう1人は音信不通になる。そして、20歳の年に、あるきっかけで再会する。
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むじゃきにはしゃいでいた10代の若者たちは、時を経て変わった。18歳で知った村の言い伝えを通して、自身と身の回りの家族、友人、村のことを考えて、社会への視野が広がり、成長した。
そして、本作はひとつの普遍的なメッセージに着地する。
人生は人それぞれ。どんなに努力しても、願っても、どれだけ深く思っても、どうしようもないことがひとつだけある。しかし、それを除けば、人生は自分次第で何とでもなる。そしてそこには、人それぞれの幸せがある。村の言い伝えも、4人の経験もそれを示している。
物語のラストは、人生における幸せの本質が、美しく感傷的に、湧き上がるような力強さをともなって描かれる。
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