「日本の高層ビルは安全」と信じるのが危ない理由 高層ビルは「わかっていないこと」が多数ある
もちろんタワーマンションの柱は1本だけでなく、10本、20本、あるいはそれ以上です。そんなものを一気に壊せる装置は存在しません。
実物大の高層ビルを倒壊させるどころか、ごく一部を壊すだけでも大変なのです。
耐震性にまつわる「期待外れな話」
地震の揺れを再現できる「振動台」という試験装置があります。平面が20m×15mという世界最大の振動台である「E-ディフェンス」は日本が保有しています。耐震先進国の面目躍如です。
しかし、この振動台をもってしても、その上に載せられるのは1200トンまでです。実大の木造住宅は基礎まで含めても重量は数十トンなので、2棟、3棟とその上に並べることも可能です。
しかし、タワーマンションで考えれば、その柱1本が負担する重量の4割でしかありません。タワーマンション全体では重量は数万トンにもなるので、そのほんの数%となります。
現状の試験装置でできることは、建物を数分の1のスケールにした縮小試験体を用いて模擬的に高層ビル全体の性能を予測するか、柱などの建物の一部の性能から、建物全体の性能を予測するかの間接的なアプローチだけです。
残念なことに、高層ビルの性能を直接知ることはできません。
高層ビルの壊れ方、倒れ方についての知見は限られています。しかし、実験でその知見を補うことには限界があります。
にもかかわらず、日々新しい高層ビルが建設され続けています。もちろんいろいろな研究や解析は行われており、安全性を確保する努力は続けられています。
しかし、自動車の安全性確認のように、本物の自動車を使って衝突実験を何度も繰り返しているような信頼性からは程遠いと言えます。
あなたが期待するような安全性が確保されているかどうかはわかりません。
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