「中野サンプラザ」建て替え計画が"迷子状態"の訳 事業費が当初計画ほぼ2倍で内容が次々変更
ただし、今の時代に大規模改修をするとすればカーボンニュートラル化の議論は避けては通れず、おそらくは外断熱工事が行われることになるだろう。その場合、太陽熱がRC躯体に入らなくなるので熱による変形が非常に少なくなり、RCの劣化の原因である亀裂も少なくなる。つまり、きちんと環境に配慮した改修工事を行えば寿命はさらに延ばすことができるということである。
耐震性能についても一部耐震性が不足しているといわれている箇所があり、改修は必要だが、建物全体を解体する必要があるほどに耐震性が不足しているわけではない。
環境負荷を下げる世界の潮流からは逆行
一方で設備は老化しており、バリアフリーの観点からも改修は必要だ。もっとも、ホール自体についても、躯体の解体費と新設費を音響設備に回せば素晴らしいコンサートホールができるはずだというのが白江氏の見解だ。
あらゆる分野で環境負荷を下げようとする世界の潮流からすると解体からの新築はそれに逆行する動きでもあり、建て替えなくても使い続けることはできそうに思う。
白江さんは2月17日に日本建築家協会関東甲信越支部中野地域会の代表としてサンプラザの建築の保存活用(特に建築躯体の再利用)の可能性を再度、検討することやツインタワー案に対して当初の案にかけたのと同様に十分な意見交換の機会を確保することなどを盛り込んだ要望書を区長、 所轄である中野駅周辺まちづくり課、区議会各会派及び無所属7名の議員あてに提出してもいる。
だが、多くの人がご存知の通り、日本では一度動き出したプロジェクトはほとんどの場合、止めることはできない。迷走しつつも今後も進んでいくのだろう。中野区民ではないものの、なんとかならぬものかとどうにもせつない。
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