「中野サンプラザ」建て替え計画が"迷子状態"の訳 事業費が当初計画ほぼ2倍で内容が次々変更
当初計画は地上62階建ての高層棟(262m)に展望施設、住宅、オフィスなどが入り、低層棟に公募の要件通りの7000人規模のホール、ホテルなどが入るというもので、オフィス4割、住宅4割に商業施設2割という配分だった。
この配分を変更して住宅部分を6割に増やし、オフィス部分を減らし、低層棟の商業空間を拡充するという。これに対して「たんなるタワマン化ではないか」という批判も出ているようだが、同年12月19日の定例記者会見で酒井区長は建物の大部分が住居となるタワーマンションとは異なるとしている。
「1万人規模」ホールの計画は変えず
また、当初の1万人から事業者募集の時点で最大7000人規模に縮小されたものの、区民の間ではかつてと同じ2000人規模のホールがいいという声が根強い。
1万人規模となると集客できるアーティスト、イベントが限られるが、2000人規模なら頻繁に利用され、それによって過度に混雑することなくまちが賑わうという考えからなのだが、これも区長ははっきりと否定。民設民営を条件に最大収容人数7000人程度を上限として公募したこと、それが維持されることでサンプラザのDNAを継承するとした。
もう1つ、サンプラザの再利用についてもこれまた明確に否定している。竣工から50年以上が経過し、これまでと同様に使用するには100億円以上の大規模修繕費用がかかるというのである。この算定は「地方公共団体の財政分析などに関する調査研究会報告書」を参考に試算したものだ。
が、迷走は2025年に入ってからも続いている。2025年1月29日の区議会建設委員会には施行事業者代表から新たに提示された高層棟1棟の建設予定を2棟にするという案が報告されている。提出された資料によると、高さは当初予定の262mよりは低くなることになっており、高さを抑えることで施工の難易度、工事費を少しでも抑えようという意図らしい。
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