「中野サンプラザ」建て替え計画が"迷子状態"の訳 事業費が当初計画ほぼ2倍で内容が次々変更

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そのため、区民の中にはサンプラザは解体を免れたと思っていた人も少なからずいたようだが、その期待は同年9月11日から開催された中野区議会本会議の区長の発言で打ち砕かれた。

複数の議員からの質問に答える形でサンプラザを建て替える旨の発言があり、早いところではその日のうちに複数メディアが「中野サンプラザ解体へ」と報じたものである。

(写真:編集部撮影)

当選3カ月での「方針転換」に憤りの声も

慎重に検討するはずだったものが、当選後3カ月ほどで解体、建て替えに舵を切ったことで憤慨した区民もいた。そのせいか、2018年10月5日の「なかの区報」が区民に呼びかけた意見募集では、20日にも満たない募集期間にも関わらず、60件を上回る長文の多い声が寄せられた。そのうちのかなりの人が1万人規模のホールに疑問を抱いており、解体に明確に反対する声もあった。

京王プラザホテル(1971年)、新宿住友ビル(1974年)など近隣の高層ビルで老朽化を理由にした建て替えが検討されていないことに加え、上部が軽いサンプラザの独特の形状から耐震性に問題がないであろうことなどを指摘する専門性の高い声もあり、広く関心を集めたことがうかがえる。

また、同区報に「サンプラザは開業から45年が経過し設備更新の時期を迎えている(長寿命化工事に約32億円かかると試算)」と書かれていたことに疑問を投げかける声もあった。

この試算は建物の更新年度を60年と設定し、今後15年存続させるための長寿命化工事を行う場合のもので、サンプラザの延べ床面積に一定の工事単価、期間に基づいて算出された。実際に現場で建物を調査、精査された数字ではない。

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