一気に3倍!「修繕積立費」値上げの怖すぎる事情 電通マンがタワマン理事長になって知った真実

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その結果、もっと直視したくない現実を知らされることになったのです。コンサル会社の試算では、単なる修繕積立金の値上げでは済まないということがわかりました。

え? その問題だけですでに胃に穴が開きそうなほど悩んでいるのに? 

今後30年を想定し、マンションの財政が赤字にならないためには、現在の修繕積立金を3倍に値上げする必要があるというのです。めまいがしました。

しかもこの「3倍」という数字、もし仮に歴代の理事会が修繕積立金を毎年見直し(値上げ)していたら、現在は3倍程度まで上がっていたはずだそうで、過去に段階的な値上げをしてこなかった分、一気に値上げしなければならない状況だというのです。

歴代の理事会を恨みたい気持ちをグッとこらえつつ、値上げに立ち向かう決意をより強くしました。

修繕積立金の値上げについては慎重な意見があるものの、中途半端な値上げでは、将来的に再び大幅な値上げが必要になります。その第一歩として、「修繕積立金の値上げ提案に向けた臨時総会」の開催について、理事会の承認を得ました。

「老い先短いから値上げしないで」

説明会はマンションの共用会議室にいすを配置し、住民が密にならないよう間隔を空けて座ってもらいました。ブロックによって多少のばらつきはあったものの、各回ともたくさんの組合員が出席。積極的な姿勢に感謝をおぼえたものです。

説明会には管理組合理事をはじめ、管理会社の社員も同席してもらいましたが、本題の説明と質疑応答に関しては、理事長の私が行いました。

同じような質問が繰り返され、毎回同じように回答する。これが6回も繰り返されると、回を追うごとに説明がうまくなり、自分でも感心するほどの成長ぶりでした。

組合員から投げられた質問に最初は言葉を選びながら答えていましたが、何度も説明会をしていくともう立板に水。その反面、マスクを着用しながらのやりとりで声を張り上げ続けると喉を痛めてしまって、後半はしんどかったです。

説明会では組合員からさまざまな意見が寄せられました。

ある高齢の女性からは「私はもう老い先短いから、値上げをしないでほしい」と懇願され、答えに窮する場面も。次の大規模修繕を行うまでには10年近く時間がありますし、修繕積立金の値上げに協力したとしてもその恩恵を受けられない可能性があることを懸念したのでしょう。

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