"管理職にはNGな人"見抜く4つの「パワハラ特性」 一緒に働いたことのある人からの評判を確認
そうすると、処分は受けたけれども経営層は自分の行動を評価してくれている、という風に受け止められてしまって、行動変容するモチベーションが醸成されません。
パワハラに該当する行為は断固として許さない、というメッセージを組織として出さなくてはいけません。
そのメッセージの一環として懲戒処分は必要ですし、定期的に経営層からあるべきリーダーシップの姿や、具体的な行動指針についてポジティブなメッセージを発信したうえで、ハラスメントに関する教育・研修の機会を提供する必要があるでしょう。
パワハラ上長の多くは、パワハラ行為に依らないマネジメント方法を知りません。
客観的事実をもとに、自身の言動の問題点を徹底的に認識させたうえで、「どう行動すればよいか」の代替案を具体的に提示してあげてください。
従業員エンゲージメントの向上にもつながる
──やはり、経営トップからの毅然としたメッセージが大事なのですね。
社長だけでなく役員・幹部も含めて、経営層の全員が口々に言うのが一番よいと思います。
一部の役員が無言だったり、指導は厳しくすべきという考えをもったパワハラへの理解が不十分な幹部がいたりすると、そうした雰囲気は社内に伝わってしまいます。
上長が部下に対して、「パワハラは許されないことであり、自分自身も注意したいから、もしも自分の行動で不快に感じることがあったら教えてほしい」と伝えるなど、上長自身がロールモデルとなるべく努める姿勢を見せられるかどうかが重要です。
そのようにして会社全体でパワハラ防止対策を盛り上げる機運が高まれば、パワハラ行為は漸減し、結果的に従業員エンゲージメントの向上にもつながるでしょう。
特に、中小企業の場合は規模が小さく人数も少ない分、パワハラ上長がいなくなったときのインパクトもすごく大きいので、一気に変わっていくと思います。
神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科教授。東京大学大学院医学系研究科修了。東京大学にて公衆衛生学修士(専門職)、博士(保健学)、和歌山県立医科大学にて博士(医学)取得、2024年より現職。専門分野は社会疫学、精神保健学、行動科学。パワーハラスメントのメカニズムについて研究しており、著書に『パワハラ上司を科学する』(筑摩書房)がある。
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