歴史教科書で学んだ「渡来人」の本当の正体 古代人のDNA解析でかつての「定説」が覆った
理化学研究所の共同グループが「東北系祖先」としたのは東アジア北東部から来た弥生人の流れを引くものにあたる。かれらは、現代の日本人の半数以上の人数となる。
そして、「東北系祖先」の日本人は、東北地方に最も多い。東北地方の現代人の60数パーセントが、「東北系日本人」の子孫である。そして、中部以東では、「東北系祖先」の者が50パーセント以上を占めている。
これまで紹介してきた理化学研究所の共同研究グループの詳細な研究によって、全人口の四分の一ほどの現代人が古墳時代の移住者の子孫であることを認めざるを得なくなった。金沢大学の覚張氏らの研究は、わずか12体の古代人の人骨だけを根拠としていた。
しかし理化学研究所では、3256人という大人数の遺伝情報を分析するという大掛かりな作業がなされた。そして3000人余りの現代人の遺伝情報のなかの25パーセント近くが、古代の黄河流域の中国人の遺伝情報と共通のものである点が明らかになった。
かつて覚張氏は古墳人の60パーセント余りが「東アジア祖先」としたが、理化学研究所の詳細な研究に従えば、古墳人の25パーセント程度が「東アジア祖先」であったことになる。
「渡来人」は古代日本人となった
これまで記したような最新のDNAの研究から、現代の日本人の約25パーセントが古墳時代の日本に来た東アジア系の人間の子孫であった可能性が高くなった。
その想定に従えば、古墳時代末の日本列島の住民の約25パーセント前後が、高句麗や百済、新羅から古墳時代に移住した新参者であったことになる。奈良時代の日本の人口を約600万人とする推計があり、古墳時代末の日本には550万~560万人の人間がいたといわれている(小山修三氏による)。
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