歴史教科書で学んだ「渡来人」の本当の正体 古代人のDNA解析でかつての「定説」が覆った

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そしてそれをもとに日本人の祖先は、3つの源流をもとにつくられたとする新説を打ち出した。

3つの源流とは、「縄文系祖先」「関西系祖先」「東北系祖先」である。大雑把にいえば、そのなかの「縄文系祖先」が覚張氏らが縄文人とした集団にあたり、「関西系祖先」が東アジア祖先(新モンゴロイド)、「東北系祖先」が北東アジア祖先(古モンゴロイド)に相当する。

さらに理化学研究所の共同研究グループは、日本の地域ごとの遺伝情報の特性についても明らかにした。かれらは全国を北海道、東北、関東、中部、関西、九州、沖縄の七地域に分けて考察した。

縄文系の祖先の比率はかなり少なかった。沖縄が最も高く28.5パーセントで、それに次ぐのが東北地方の18.9パーセントになるというのだ。このことから、現代でも沖縄と東北地方に縄文人の流れを引くものが比較的多く残っていることがわかる。

理化学研究所の寺尾知可史氏らの共同研究に従えば、現代の日本人の遺伝情報のおおむね15パーセントが縄文由来のものということになる。これまでにも現代の日本人のDNAの約20パーセントを縄文系とする推計が出されたこともあった。

3系統の日本人の祖先の割合

今のところ私は、現代人の遺伝情報の15~20パーセント前後が縄文系、25パーセント前後が東アジア系、55~60パーセント前後が北東アジア系だと考えている。

現代の関西では、古代の黄河流域の中国人と共通する遺伝情報をもつ関西系祖先の者が目立つ。そのため、現代の関西人の40パーセント程度が、「関西系祖先」、つまり古墳時代に日本列島に渡って来た新モンゴロイド(中国人系民族)の子孫となる可能性もある。

九州にも「関西系祖先」の現代人が30パーセント余りいるが、東北地方では「関西系祖先」の者が10数パーセントにすぎない。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事