歴史教科書で学んだ「渡来人」の本当の正体 古代人のDNA解析でかつての「定説」が覆った

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これまで日本古代史の研究者の多くは、漠然とした形で、このように考えてきたからだ。

「古墳時代(250~550年ごろ)を中心とする時代に、大陸から日本列島に移住してきた人びとが『渡来人』である」

ところが「渡来人」と呼ばれてきた人びとは、日本人そのものだということになったのだ。このあと、日本人の起源に関する最新の科学的研究を紹介していこう。

DNAが語る古墳時代人の出自

令和3年(2021)に、DNAを手掛かりにした科学的手法によって、古墳時代の日本人に関する衝撃的な事実が明らかにされた。(『パレオゲノミクスで解明された日本人の三重構造』〈Science Advancesオンライン版2021年9月17日号〉)

金沢大学の覚張隆史(がくはり たかし)助教(現在、准教授)が、古墳人のDNAの遺伝情報の60パーセント余りが東アジア祖先のものである可能性を指摘したのだ。彼が「東アジア祖先」とした人びとは、アジア人のなかの新モンゴロイド(中国人系)にあたる。

当時の高句麗(こうくり)南部と百済(くだら)、新羅(しらぎ)に相当する朝鮮半島北部、中部に居住していた新モンゴロイドが、古墳時代に大量に日本列島に渡って来たことになる。

この説が誤りでなければ、これまでの「渡来人」に関する定説が一気に崩れてしまう。その点については、このあとすぐ解説するとして、覚張氏の説の詳細を記しておこう。

覚張氏を中心とする、日本人、アイルランド人などから成る国際研究チームは、縄文時代から古墳時代にかけての12体の人骨を調査した。それらの一体一体のDNAの遺伝情報を解析し、それをすでに公表されている縄文、弥生の人骨や8000年前から3000年前にかけての大陸の人骨の遺伝情報と比較したのである。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事