これはOpenAIやグーグルをはじめアメリカのIT企業には脅威となる。これらアメリカ勢が有料で提供する生成AI製品と性能的にほぼ同等のものを、中国のDeepSeekは無料で提供するからだ。
また最近、トランプ大統領と共に、OpenAIとソフトバンク、オラクルが共同で発表した最大5000億ドル(約78兆円)のAIインフラ計画「スターゲート」など、これまでアメリカ勢が生成AI開発に投入してきた巨額資金への評価も根本的な修正を迫られる。
なぜなら、DeepSeekのような中国勢がアメリカ勢の「10分の1」のコストでほぼ同等のAI製品を作れるのであれば、アメリカ勢による巨額投資がそもそも無駄金という結論になるからだ。それまで巨額のAIインフラ投資を見込んで上昇していたエヌビディアなどの株価が急落したのはそのためだ。
DeepSeekの登場はNVIDIAには追い風?
ただ、今後本当にエヌビディア製の先端GPUなどAIインフラへの需要が減少するかというと、実際にはその逆との見方が優勢である。
19世紀の産業革命など過去の歴史を振り返ると、技術革新によって石炭など資源の利用効率が向上し、その資源を節約できるようになると、むしろ資源の利用量は増加してきた。
利用効率が高まると、石炭を使った製品やサービスがより安価になり、社会におけるそれらの利用が増えるからだ。これは一般に「ジェヴォンズの逆説(Jevons paradox)」と呼ばれる。
今後の生成AIもDeepSeekによる低コスト化を引き金に安価になって利用量が増え、それに伴い生成AIの資源となるGPUの使用量(需要)も減るどころか、むしろ増加していくと見られる。従ってエヌビディアの株価は一時的に急落しても、いずれ持ち直して再び上昇基調に戻ると見られている。
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