老いた親の様子に不安を覚えたらまずこれを! 介護の専門書が必ず役に立つわけではない
工:自治体などが主催の介護の講演会って、まずはお医者さん、次に介護の専門職の方が呼ばれることが多いんです。そのあとに、わたしのような存在、つまり実際に親の介護をしている人に声がかかります。①医師→②専門家→③介護経験者の順で3番目に声がかかるので「第3の男」です。
K:なるほど。買い物をするときと同じかもしれませんね。メーカーが出している公式の情報も見るけど、実際に商品を使った人の声とかレビューが知りたいのと似ている気がします。
介護の専門書が必ず役に立つわけではない理由
工:たとえば、介護の専門書には、「認知症の人が妄想を話しはじめたとしても、否定してはいけません。なぜなら、認知症の人にとっては、それが事実だからです」と書いてあります。
K:そういう対応がふさわしいんですね。
工:たしかに、理想はそうなんです。わたしも介護経験がない最初のころは、専門書に書いてある通り、認知症の母の話を一切否定せずに聞いていました。でも、どうしてもうまくいかないし、母とぎくしゃくしてしまうんです。
K:介護のプロのアドバイスなのに……。
工:それで、なんでだろうと考えてみると、理由がわかりました。そういった介護の専門書には、だいたい「時間軸」が抜けているんです。
K:時間軸……?
工:たとえば、母と話をしていると、亡くなった祖母がよく生き返ります。数回なら否定せずに聞けますが、これが1日に何十回も言われたら、どうでしょうか? わたしのように介護が12年以上続いていても、我慢できるでしょうか?
K:そ、それは、無理だと思います……。
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