信頼を得るという作業こそが一番必要なのであって、それを短期的にお金に変えるために射幸心を煽るっていうのはビジネスとして正しくないっていう言い方をズバッとされていた。いわゆるソシャゲとかが流行っていた時に、任天堂が参入しなかったタイミングでの発言だったと思うんですけど、それは本当に同じことだと思います。
CDのアーティストの取り分は少ない
倉沢:ファンの方がたくさんCDを買ったりして応援したいという理由の1つに、CDと例えばストリーミングで比べた時に、アーティストの取り分はCDのほうが高いんじゃないのかと思っていることがあります。
SKY-HI:(CDは)アーティストの取り分はめちゃくちゃ低いです。それは、CD1枚とストリーミング1再生を同じに考えてませんか、という。1回再生して、0.何円ということに関してでしょうが、どこかのタイミングからは「これくらい加入者が増えたら、これくらいまで還元が上がってもいいんじゃないか」という交渉も起こってくると思います。
実際にアメリカでは、とっくにそのフェーズに入っていると思う。そんな還元率まで考えたら、グッズを買ってくれるのがアーティストは一番嬉しいと思いますね。
2010年代とかに最も多くのCDを売ったグループの中で、例えば役者とか広告とか、その他の仕事なしで、CDの売り上げだけでお金持ちになった人って1人でもいますか、という。逆にCDを1枚も出さずに配信のみしているアーティストでお金持ちになった人って何人いますか、と考えると割と明白な気がしますね。
倉沢:じゃあファンの皆さんは落ち着いて、CDはそんなに買わずに……。
SKY-HI:そういう簡単な話でもないのはすごいわかるんですよね。これはすごく複雑な話で、結局応援したいっていう純粋な気持ちの"出先"を何にしていくか。
(CD主体のビジネスは)ビジネスとしても破綻してるし、アンサステナブルなのもそうだし、ソロアーティストにも皺寄せもきちゃって、音楽業界自体を逼迫させている。20年近く前から真綿で首を絞めるような状況が続いてる。もうキッチンに並ぶ前のニワトリみたいな状況になっちゃってるんですよ。