銀行が恐れる日銀「預金準備率引き上げ」の現実味 銀行の「棚ぼた利益」に対する国民の不満も

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日本を含む多くの先進国で量的緩和政策が実施されたことで、今でも中央銀行の当座預金には、金融機関の莫大な余剰資金が置かれている。利上げ局面では、各国中銀が超過準備額に付利する金利を引き上げることで短期金利の上昇を図ることになるが、それによって中銀自身の利払い負担が膨らんでしまう。

そうした中、スイス中銀は預金準備率を引き上げて金利が付かない法定準備預金額の部分を拡大させることで、利払い負担の軽減を図ったわけだ。

ユーロ圏でも、経済学者や欧州議会議員らが2024年1月に欧州中央銀行(ECB)理事会に対し、預金準備率の引き上げを求める公開書簡を提出している。預金準備率の定めがないイギリスでも、中銀の利払い負担軽減を目的に法定準備預金額(最低準備預金制度)の導入を提案するレポートを、予算責任庁が2021年に出している。

金利上昇局面で各国中銀の利払い負担が課題となる姿が浮かび上がる。

日銀でも「当然ありうる話」

諸外国が利下げに転じる一方で、利上げを模索し続ける日銀にとっては、今後の利払い負担が大きな懸念となりうる。

日銀は2024年12月末に発表した「日銀レビュー」の中で、日銀自身の財務と先行きの試算結果を示している。そこでは「市場金利が織り込む金利見通しを前提とした場合には、財務面での負の影響は限定的」とした一方で、「より厳しい仮定を置いた場合には、一定の財務リスクがある」と分析している。

超過準備額の推移

日銀の財務悪化に警鐘を鳴らす日本総合研究所主席研究員の河村小百合氏は、「(預金準備率の引き上げは)諸外国ですでに議論されているトピック。財務悪化局面に突入する日銀が実施することは当然ありうる話」だと強調する。

みずほリサーチ&テクノロジーズ上席主任エコノミストの井上淳氏も、「金融政策正常化の過程で超過準備が減少するまでの過渡期的な政策として(預金準備率の引き上げは)ありうるのではないか」と指摘する。

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