「奄美にあるハブ屋」使用禁止Xデーに向けた対策 時流読み変化続けるハブ屋のビジネス(後編)

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商品コンセプトをつくった理由はもう1つある。将来、環境保護や動物愛護の流れがさらに大きくなれば、ハブ皮やハブ骨を使えない未来がやってくるかもしれない。「ハブ製品」の定義を広げて、ハブそのものを使わない商品も増やしたほうがいいと考えたのだという。

奄美 ハブ屋
三男・拓哉さんが製造するハブ革を使用した革製品。ハブ革の全面貼りをせず、一部に使うことでデザイン性を高め、耐久性をアップさせた(写真:原ハブ屋提供)

「ベジタリアンやヴィーガンという概念が出てくるのなら、ハブ皮が禁止される“Xデー”がやってきてもおかしくないと思いました。そこまで心配しなくてもと言われることもありますが、いまの時代、何がどう転んで自分たちのビジネスに影響するかわかりません。できる対策だけはしておこうと思いました」(長男・武臣さん)

ステッカーやTシャツ、LINEスタンプも

武臣さんたちは、奄美のハブにまつわる歴史や文化に着想を得た商品、ハブがテーマのコンテンツ商品も「ハブ製品」と定義。ハブを使わない商品の開発を進めた。ステッカーやTシャツ、カードゲーム、コミック、LINEスタンプなどといった広義のハブ製品を続々と生み出している。

奄美 ハブ屋
5種類あるカードゲーム。すべてハブや奄美の生き物を題材にしている(写真:筆者撮影)
奄美 ハブ屋
長男・武臣さんが原作・作画を担当した漫画『AMAMI FOREST WARS』上・下巻。人間と野生動物の「共生」のあり方を考えさせられるストーリー(写真:筆者撮影)

「原ハブ屋は少人数のため、商品数を十分に揃えられないのが長年の悩みの種でした。でも、商品コンセプトを設定してハブ製品の定義を広げたことで、外注できる商品が生まれ、ハブそのものを使った革製品やアクセサリーが少ない時期にも棚が寂しいということがなくなった。在庫が復活するまでの時間稼ぎができるようになりました」(長男・武臣さん)

商品コンセプトをつくってから12年後の2018年、武臣さんたちの心配を裏づける出来事があった。仏のラグジュアリーブランド「シャネル」が、ヘビやワニなどの革を指すエキゾチックレザーの使用廃止を発表したのだ。

「ああ、やっぱりそうなったか、と思いました。これからも奄美のハブの歴史や文化を落とし込んだ商品、コンテンツ商品に力を入れていくつもりです」(長男・武臣さん)

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