「続編ヒットしない」定説を破るディズニーの躍進 モアナとインサイド・ヘッド続編ヒットの背景
日本でも、コロナ禍以降の洋画の不振が続くなか、今作は53.6億円と、ディズニーの5年ぶりの50億円超えヒットとなり、前作の40.4億円を大きく上回った。

それに続くとともに、さらに大きく跳ねたのが『モアナと伝説の海2』。前作の3年後を舞台に、妹が生まれ、大人へと成長するモアナ(前作で16歳)が、島のリーダー的な存在になり、先人たちの教えに導かれ、外の世界の仲間を探す旅に出るアクションアドベンチャーだ。
11月27日に公開された北米では、公開5日間のオープニング成績で映画史上歴代1位の興収記録を樹立し、公開2週間で全世界興収6億ドル超え。はやくも前作『モアナと伝説の海』(2016年)の2.5億ドルの倍以上になった。この勢いをキープすれば、『インサイド・ヘッド2』を抜いて、アニメ映画世界興収1位に立つことが予想される。
日本では、公開初週で9.6億円の大ヒットスタート。この数字は2024年の洋画1位となり、日本でのディズニーアニメ史上歴代3位。前作の最終興収51.6億円超えを確実にしている。
このように、前作から8〜9年を空けて、同じ年に公開されたディズニーの人気シリーズ続編2作が、ともに驚異的なグローバルヒットを記録しているのだ。
ボブ・アイガーCEO復帰後の変化
では、なぜ今年のディズニーはこのような続編ヒットを続けることができたのか。その背景を探っていくと、3つの要因が見えてくる。
まず1つが、ボブ・アイガーCEOが2022年の就任とともに掲げたクリエイティブの変革による、それまでとは異なる作品性が表れた作品群が市場に出てきていることだ。
ボブ・アイガー氏は、2005年にディズニーCEOに就任し、ピクサーや20世紀FOXの買収をはじめ、『アナと雪の女王』(2013年)や『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)などの記録的ヒットを生み出すなど、現在のディズニー帝国を築き上げた立役者だ。
15年間CEOを務めたあと、2020年よりボブ・チャペック氏が後任のCEOに就いた。チャペック氏はクリエイティブ権限を集約する組織改編や、ローンチしたばかりのディズニープラスでの配信を重視した市場戦略を掲げるが、コロナ禍の試行錯誤と紆余曲折があり、業績不振が続いた。
それを受けて、2022年にCEOに復帰したボブ・アイガー氏は、オーセンティック(本物志向)なストーリーテリングを追求して最高の作品を届ける、クリエイティブファーストの組織形態への再編成を断行した。
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