成蹊大学が「国際共創学部(仮称)」を設置 2026年4月開設を目指す

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成蹊大学の授業イメージ

文系・理系の複眼思考で解決

成蹊大学 学長 森雄一
成蹊大学 学長
森 雄一

成蹊大学が、2026年4月の開設を目指して「国際共創学部(仮称)」の設置を構想中だ。新学部設置の理念について、森雄一学長は次のように語る。「地域が直面する問題から人類が共通に抱える地球規模の課題まで、社会課題はより深刻化しており、これらを解決し持続可能な地球・社会の実現に貢献できる人材が求められています。そこで新学部では、文化、環境、地域などについてグローバルとローカルの2つの視点で探究するとともに、文系・理系の複眼的な思考と他者との協働により、これらの社会課題の解決に挑戦する人材の育成を目指します」。

新設される「国際共創学部(仮称)」は、1学科「国際共創学科(仮称)」から構成され、その下に「国際日本学専攻(仮称)」および「環境サステナビリティ学専攻(仮称)」の2つの専攻を設定する。募集人員はいずれも75名を予定している。

「国際日本学専攻(仮称)」は、「文化学」「地域学」などを基盤に、日本と世界をつなぐ文化の交流と多様性、さらにグローバル化する日本の地域の諸課題、日本語教育などについて多角的に学ぶ。学びのテーマは、生活文化、共生社会、地域創生、日本美術、日本のポップカルチャー、異文化交流、日本語教育などで、さまざまな風土の中で培われた生活様式や価値観など、多様な人のあり方を学ぶ。

「環境サステナビリティ学専攻(仮称)」は、「環境学」「地理学」などを基盤に、成蹊大学がこれまで先覚的に実践してきた地域や社会と協働する環境科学的な学びを軸とする。学びのテーマは、グローカル経済空間論、サステナブル観光論、環境学・地域研究、地形地質・防災論、気候変動論、グローバル地球環境学、情報環境学などで、人々が暮らす世界・環境について学ぶ。

一見、同じ学部の中に「国際日本学専攻(仮称)」と「環境サステナビリティ学専攻(仮称)」の2つのまったく異なる専攻が存在するように感じるかもしれないが、森学長は「ローカルとグローバルという両面から社会課題の解決につながる専門性を身に付けるという点では、両専攻は共通しています。また、1つの学部の中に両専攻を設けることで新たな学びを得られる機会も多いと考えています」と説明する。

フィールドワークを重視するなど独自のカリキュラムで育成

「社会課題の解決のためには、確かな専門性を備える必要があります。本学は創立当初より『本物に触れる教育』を重視してきました。『国際共創学部(仮称)』でも、その考えを大事に、独自のカリキュラムで学びの機会を提供していきます」と森学長は語る。

文系と理系、理論と実践、ローカルとグローバルなどの複眼思考を養うために、「Critical Thinking(知識と思考力)」「Communication(表現力と発信力)」「Collaboration(チームワーク力と実行力)」の「3つのC」の力を高める。

「3つのC」の力

キャンパスのある東京・武蔵野市吉祥寺をはじめ、地方都市などでの地域特性を生かしたフィールドワーク学習も多く取り入れる。また、世界とつながるためには語学力も必須だ。英語で学ぶ専門科目なども設置され、グローバルに活躍できるコミュニケーション力を養う。特筆すべきは、両専攻ともにデータサイエンスなどの情報分析・活用力を身に付けるカリキュラムが用意されていることだ。政府も「Society 5.0(超スマート社会)」を掲げるが、これからの社会に必須のスキルといえるだろう。このほか、1年次から各年次で演習科目を配置し、定評ある少人数制のゼミ教育が新学部でも行われる。

「『国際日本学専攻(仮称)』と『環境サステナビリティ学専攻(仮称)』の2つの専攻で共通する科目も多くあります。両専攻では1年次から海外留学生も広く迎え入れる計画です。いずれも同じ教室で学び、同級生として交流を深めることで新たな気づきや発見も得られるでしょう」(森学長)

想定される卒業後の進路としては、いずれの専攻ともに、さまざまな企業のグローバル部門・企画部門・営業部門、国際協力機構(JICA)などの独立行政法人、地域づくりなどのNPO法人、自治体などが挙げられる。加えて、「国際日本学専攻(仮称)」では、国際交流基金などの国際交流機関、さらに日本語教員の道もある。「環境サステナビリティ学専攻(仮称)」では、デベロッパーや建設関連企業のほか、気象(環境)コンサルタントなども想定される。

「本学はこれまでも『丸の内ビジネス研修(MBT)』など、産学連携プログラムに力を入れてきました。新学部でも外部機関との連携をさらに進めていきます」(森学長)。2024年9月には、北海道帯広市と連携協定を結んだ。十勝・帯広の自然や産業などに関する学内授業や、現地でのフィールドワークなどを実施する予定だ。

「本学は、経済・経営・法・文・理工の全5学部の全学年の学生が1つのキャンパスで学びます。この環境を生かし、他学部と連携したシナジー効果も生まれると期待しています」と森学長は話す。

投資も積極的に行っている。24年9月には学園構内において延床面積が最大となる新棟(大学11号館)も完成した。1階・2階には「ラーニングコモンズ」が設置され、「プレゼンテーションエリア」や多言語交流空間「グローバルスクエア」などの学びや交流を促進する空間も備えられた。

「引き続き、社会からの信頼に応え、活気のある大学にしたい」と森学長は力を込めた。新学部から輩出される人材に、今から期待が高まる。

※記載内容は構想中のものであり、今後変更される場合があります

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