韓国「ロシア由来」の武器をウクライナへ送るのか 韓国の主要武器はロシアの技術から生まれている

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

その後、韓国とロシアの間では、1996年に「国防協力協定」、1997年に「軍事技術分野・防衛産業・軍需協力に関する協定」、2001年に「軍事秘密情報の相互保護に関する協定」、2005年には「地対空誘導武器体系協力事業の相互協力に関する協定」などが締結されました。

ウクライナ戦争開戦前の2021年には、韓国とロシアは「国防協力に関する協定」を条約として再び締結していて、この分野における両国関係はつい最近まで実態があったことがわかります。

裏を返せば、韓国政府にとってはロシアによるウクライナ侵攻がいかに「寝耳に水」だったかが想像できるでしょう。

――そういったロシアとの協力関係で成果を得られた韓国軍の装備・兵器にはどういったものがありますか。

代表的な装備品の中では前出の「天弓」地対空ミサイルが挙げられます。また、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)とそれを発射するための「垂直発射装置」(VLS)、これら装置を備えた潜水艦です。

コールドローンチ技術はロシアから

天弓はミサイル本体を噴射ガスで射出した後、そこから本体部分が発射される、いわゆる「コールドローンチ」といわれる技術が使われています。おそらくこうした技術は2005年に締結された「地対空誘導武器体系協力事業の相互協力に関する協定」に基づいて技術がもたらされたかもしれません。

2018年9月に就役した韓国海軍潜水艦で独立運動家の名前を取った「島山安昌浩」(トサンアンチャンホ)が、2021年9月に同艦からのSLBM発射に成功したと発表しました。

――ミサイルに関して、北朝鮮の一連のミサイル開発・発射の過程と、韓国軍は軌を一にしているように見えますね。

いとう・こうたろう/中央大学大学院法学研究科博士後期課程政治学専攻単位取得退学(博士)。衆議院議員事務所、内閣官房国家安全保障局などでの勤務を経て、法政大学特任准教授、立命館大学客員准教授をそれぞれ兼任。著書に、『韓国の国防政策』、『ドローンが変える戦争』(共著)、『防衛外交とは何か』(共著)、『「技術」が変える戦争と平和』(共著)など(写真・本人提供)

2018年1月に金正恩・朝鮮労働党委員長が韓国・平昌オリンピックへの参加を表明すると、一気に南北融和の空気が流れました。当時日本では文在寅政権の対北融和姿勢への警戒感が支配的でした。

しかし実はこの間、北朝鮮はICBMなどの長距離射程ミサイルの発射を自重した反面、短距離弾道ミサイルや極超音速ミサイルなどを発射するようになりました。

同様に、韓国もそれに触発されるかのように、SLBMや各種ミサイルなどの開発を進め成功していたわけです。文政権後期には韓国が保有するミサイルの射程と弾頭量を制限してきた「米韓ミサイル指針」が2021年5月に開かれた米韓首脳会談で撤廃されました。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事