Netflix女子プロ 「極悪女王」独走1位のわかりみ 剛力彩芽が10キロ増量して「ライオネス飛鳥」

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「極悪同盟は世の中の罵詈雑言を食って生きていくんだよ!」というゆりやんレトリィバァのせりふからは覚悟すら感じます。現実世界でも誹謗中傷の声を受けてきた役者が揃っているのも絶妙です。

鈴木おさむが企画からプロデュース、脚本まで手掛けた作品であることを知ると、世間の興味の引き出し方がうまいことに納得します。また狂気さのリアルが半端ない映画『凶悪』を代表作に持つ白石和彌が総監督を務めていますから、ガチ度の高い試合シーンが作られたことにも納得できます。

画面から伝わってくる熱量はピカイチ。満足度の高い作品だ(写真:Netflix)

海外でランクイン、まだ1カ国

9月19日から世界独占配信開始されて以降、「極悪女王」はNetflix公式ランキングの国内1位を独占しています。ドラマ「地面師たち」の話題のピークを越えたあたりに投入されたタイミングも味方につけています。「極悪女王」も「地面師たち」も実は同じプロデューサーが担当しています。しかも世界的にも好成績を残した映画「シティーハンター」まで。立て続けにヒット作を生み出しているNetflix高橋信一エグゼクティブプロデューサーの手腕が発揮された作品でもあります。

世界で一斉に配信されるNetflixオリジナル作品ですから、「極悪女王」も日本だけでなく、海外でも公式ランキングに食い込んでほしいところですが、出だしでランクインした国は日本だけ。順位が反映される5日目にして初めて香港でランクインした状況です。9月25日現在、海外ではこの香港のみです。

今のところ日本と海外で反響にギャップがある要因は、登場するレスラーたちの頭数においても忠実であることが大きそうです。ダンプ松本と長与千種と同じ55年組の本庄ゆかりに大森ゆかり、2年先輩のジャンボ堀あたりなども登場し、全5話のドラマとしては登場人物が少々多すぎ問題があります。一ミリも前情報を持っていないと把握する難しさがあるように思います。当時のことを知らなくてもネット検索してわかりみを深める楽しさはあるものの、大概は日本語でしかたどり着かない情報が多いです。

世界配信を前提としながら、どの国でもローカルウケを大事にするのがNetflixオリジナルの製作方針です。「極悪女王」の方向性は決して間違っていませんが、日本作品特有のジレンマが表れているのだと思います。

それでも、自分たちの意思を尊重し、行動した少女たちの物語としても十分に表現され、画面から伝わってくる熱量はピカイチ。きっと国境を超えていくんじゃないか。そんな期待を持ち続けたくなる作品です。

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長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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