ただYouTubeなどの動画サイトには個人が撮影した大谷翔平のホームランシーンが、試合の最中からアップされている。動画などコンテンツの撮影、掲載の規制は事実上、行っていないようだ。
しかしながらMLBの場合、試合の最中から公式サイトで、大量の動画を無料で配信している。大谷翔平がホームランを打つと、その直後に素晴らしい動画がアップされる。動画だけでなくデータ解析ツール「スタットキャスト」の打球速度や角度、飛距離などのデータも瞬時に出てくる。
素人が小さなカメラでネット越しに撮影した動画などとは比べ物にならないすごい動画が、公式サイトで続々配信されるのだ。MLBの公式サイトでは数百人に及ぶ選手のプロフィールを公開しているが、その選手1人ひとりについてもプレーシーンの動画を観ることができる。
コンテンツホルダーであるMLB自身が、上質の動画、画像をオンタイムで大量に発信することで野球ファンの「観たい」「知りたい」というニーズを満たしているのだ。そういう形で非公認の動画、画像コンテンツのマーケットを抑え込んでいると言うこともできよう。
NPBでもぐりの動画ビジネスが横行した背景
NPBの場合、公式サイトでは「試合速報」はオンタイムで発信しているが、動画も画像も一切、配信していない。また、球団サイトも動画や画像をあまり配信していない。スポーツ新聞などのメディアも試合結果と画像にとどまり、動画は配信していない。
パ・リーグ6球団が出資して設立したPLM(パシフィックリーグマーケティング)が運営するパ・リーグTVがパの試合動画を随時配信しているが、セ・リーグにはそういうものはない。コンテンツホルダーがファンの「選手の活躍を見たい」というニーズに応えているとは到底言えない状況だ。だから、もぐりの動画サイトがビジネスをしてしまうと言う側面があるのだ。
肖像権、著作権を守るうえで、動画、画像の規制は必要なことだが、今回の約款の改定、規約の追加に関しては、多くの観客に影響を与える可能性がある。そもそも今のあらゆるレジャーは「スマホで撮影する」ことを前提としている。そういうファンの試合観戦への意欲を減退させるような規制になってはならないだろう。
NPBは来年2月の実施までに「どこまでがセーフ」で「どこからがアウト」なのか具体的なガイドラインを示すべきではないか。現実的な対応になることを期待したい。
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