数学が苦手な人にとっては、数学は難しくて、つまらなくて、たいした使い道もないように思えるかもしれません。しかし、数学が伝えようとしているのは、ただの公式ではなく、その公式のなかに隠れている物語です。
数字という言葉を理解すれば、数学はおもしろい
数学とわたしたちの間には、どうやら誤解があるようです。そしてその誤解は、「言葉」のせいで生まれます。
数学は人間とは違って「数字」という言葉を使います。数字は簡潔で正確ですが、わたしたちが普段使っている言葉のように、やさしかったり、おもしろかったりはしません。だから問題集を埋めつくした数字を見ると、イライラしてしまうのかもしれません。
でも、数学が本当に何にも言っていないわけではなく、わたしたちがその言葉を聞き取れていないだけなのです。
数学の言っていることを理解するためには、数学が数字を通じてどんな世界を見せようとしているのかを理解しなければなりません。大切なのは、「2×3の答えが6」ということではなくて、「2人の友人に3輪ずつの花をプレゼントするには6輪の花が必要だ」ということです。どんなに難しい公式でも同じです。
すべての数学的な事実は、わたしたちが暮らす世界を説明するために存在しています。だから、数字で埋め尽くされた問題集とにらめっこしてばかりでは、絶対に数学を理解することはできないのです。
いままでのわたしたちは、数学とはあまり親しい仲ではありませんでした。「どうして?」と質問する暇もなく、ロボットみたいにたくさんの問題を解いてきたからです。
そういうつまらない問題たちは、一度放り投げてしまいましょう。そして質問してみるのです。高いところから数学をおろして、数学の目をよく見ながら「きみが本当に言おうとしていることは何?」と。
心の扉を開いて、いままで数学と交わすことのできなかった話をしてみることで、数学はみるみるおもしろくなるでしょう。
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