「新しい視点、考え方を身に付けたい」 br>というビジネスリーダーが集う 慶應義塾大学のエグゼクティブセミナー

過去60回開催の実績を誇る
「高等経営学講座」が好評
2015年7月下旬――。大阪市内のホテルで慶應義塾大学ビジネス・スクール(KBS)のエグゼクティブセミナーの一つ「高等経営学講座」が開かれていた。
受講生は企業や団体の役員や部長クラスの人ばかり約100人(2クラス編成)。ビジネスの現場でも、これだけのリーダーが一同に集まるのは、あまり例がないだろう。
同講座の開催はすでに60回を数える。「いずれの回も、多くのビジネスリーダーの方々にご参加いただいています。最近はさらにお申し込みが増えております」と、同校の中村洋教授は説明する。
同講座が高く評価されている証と言えるが、その要因はどのような点なのか。

慶應義塾大学 ビジネス・スクール 教授
「どの企業でも人材育成は行われていると思います。ただ、同じ会社、同じグループの方々が集まると、どうしても似たような考え方になりがちです。当校では、違う業界の違った役職の方など、多様な人たちと議論することで、新たな気付きや発見が得られると好評です」
講座の様子を見ると、それにも納得がいく。ある受講生の意見に対して、他の受講生からも意見が出され、活発なディスカッションが行われている。教員はそのディスカッションをリードするように「なぜでしょうか」、「具体的にはどういうことでしょうか」などと指摘する。「慶應型ケースメソッド」と呼ばれる独自の授業だ。ケース(実際の企業や組織が直面した経営課題を記述した教材)を事前に読み込んだ上で、各人の分析結果や意思決定の内容やその理由を発表し、議論し合うのである。
「高等経営学講座」の会期は8泊9日だ。この間、文字どおり会場に「缶詰」になって、12のケースを読み込むという、かなりハードなスケジュールである。日ごろ企業の意思決定に携わっているビジネスリーダーですら、「こんなに頭を使ったのは、大学を卒業してから初めて」という声も少なくないというが、必ずしも冗談ではないだろう。