正解のない時代に「やさしさ」が価値を生む理由 「人と組織で勝つファーム」が重視する文化とは

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左から福本 悠 氏、片山 紀生 氏、辻 愛美 氏、谷川 真理 氏
PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)は、インクルージョン&ダイバーシティ(以下、I&D)を戦略的に推進し、多様なスキルとバックグラウンドを持つプロフェッショナルのコラボレーションにより価値を創出してきた。その活動の根底にあるのは、他者を思いやり、挑戦を後押しするインクルーシブなカルチャーでもあり、「やさしさ」だ。他者の気持ちを理解し、信頼を築く。そんな「やさしさ」の積み重ねが、チームの絆を深め、組織全体を「強く」している。

多様性やインクルーシブなカルチャーが競争力の源泉、コラボレーションで組織の価値を最大化

――PwCコンサルティングのI&Dに関する考え方について、教えてください。

片山 私はCHROに就任した際に、全社員に向けてPwCコンサルティングは「人と組織で勝つファーム」でありたいというメッセージを発信しました。私たちの最大の資産であり、競争力の源泉となるのは「人」です。社会やクライアントに価値を提供し続けるためには、人の可能性を最大限に引き出し、人と組織がともに成長することが重要です。

「人と組織で勝つファーム」の定義の1つは、「多様な人材が共創し、化学反応を起こす」ことです。PwC全体では世界各国に約36万人の社員・従業員が在籍しており、PwC Japanグループだけでみても、PwC Japan有限責任監査法人やPwC税理士法人、PwCアドバイザリー合同会社など、PwCコンサルティング以外にも多岐にわたる法人が多様な事業を展開しています。もはや決まった正解などがない時代を迎える中、クライアントが抱える複雑な経営課題を解決するためには、グローバルネットワークや各分野のプロフェッショナルのコラボレーションが不可欠です。私たちが掲げるI&Dは、これを実現するための基盤となります。

多様な専門性や価値観、バックグラウンドを持ったメンバーがお互いをリスペクトし合い、インクルーシブにコラボレーションすることは、チームと組織を強靭にします。それがひいては、クライアントに提供する価値を最大化することにつながります。こうした理念を、採用活動のメッセージ「やさしさが生む、強さがある。」に込めています。

PwCコンサルティング 上席執行役員 パートナー Chief Human Resource Officer(CHRO)片山 紀生 氏
PwCコンサルティング
上席執行役員 パートナー Chief Human Resource Officer(CHRO)片山 紀生 氏
電力・ガス業界を中心に20年以上のコンサルティング経験を有する。事業戦略の策定や業務・組織変革、IT・デジタルの利活用、スマートシティに関するプロジェクトに従事。CHROとして経営戦略に連動した人事戦略、各種施策を推進している

――「やさしさ」という言葉は、どのような意味で使われているのでしょうか。

片山 「他者を感じ、他者に配慮すること」を意味しています。PwCコンサルティングには、これまでも困っている同僚がいたら手を差し伸べる、何かを求められたら快く応えるカルチャーが根付いていました。

 例えば、日常業務において「こういう資料を持っていませんか?」「キャリアの話を聞いてほしいです」など、国内外問わず、メンバー同士で気軽にチャットやメールを送り合っています。気兼ねなく何でも相談できますし、連絡をしたらすぐに返信があります。私にも、さまざまな相談が寄せられますが、タイムリーに返すように心がけています。

 また、プロジェクトへのアサインについては、個人のライフステージや大切にしている価値観、キャリアの希望をしっかりとヒアリングし、一人ひとりの意思を尊重することを大切にしています。

グローバルでI&Dを推進、「やさしさ」が挑戦を後押しする

――I&Dの具体的な活動について教えてください。

谷川 PwCはグローバルで、一人ひとりが多様性を尊重しながら周囲をリードし、インクルーシブに行動できるように、ヒューマンスキルの向上に取り組んでいます。組織の仕組みを整え、インクルーシブな環境をつくることで多様性の持つ本来の力を発揮させることができると考えています。

そして PwC Japanグループでは、「Gender」「Nationality(国籍や文化の違い)」「Disability(障がい者インクルージョン)」「LGBT+インクルージョン」「Workstyle Transformation(働き方改革)」に焦点を当てた取り組みを展開しています。

 私は、PwCコンサルティングでI&Dの理解促進につながる活動をリードしている立場にあり、インクルーシブなカルチャーを醸成するために「なぜI&Dに取り組むのか」という目的を皆さんに伝える活動をしています。一人前のコンサルタントとして働くためにも、真の「Community of Solvers(多様な専門家による協働)」として社会課題を解決するためにも、I&Dのマインドセットが欠かせません。

PwCコンサルティング 執行役員 パートナー 谷川 真理 氏
PwCコンサルティング
執行役員 パートナー 谷川 真理 氏
新卒で入社後、10年以上にわたり、サプライチェーン領域を中心にコンサルティング業務に従事。その後、ヘルスケア部門に異動し、主に国内外の大手製薬企業向けに大規模プログラムやチェンジマネジメント案件を数多く担当

――福本さんと辻さんは、これまでのキャリアを通して、PwCコンサルティングのカルチャーをどのように受け止めてこられましたか?

福本 魅力に感じているのは、挑戦の機会を与えてくれることです。私は、管理職へのステップアップのタイミングが、育休と重なりました。新しい職位に就くのは育休後になるため、不安を感じ、管理職を引き受けるべきか悩んでいたんです。しかし、当時上司だった片山さんに「何かあってもサポートするので、挑戦してみてはどうでしょうか。今の福本さんの選択が、後輩が同じ岐路に立ったときの1つのモデルケースにもなるはずです」と励まされ、管理職になることを決意しました。もしその決断をしていなかったら、私自身の成長スピードも鈍化したでしょう。

この経験を踏まえて、私たちが掲げる「やさしさ」とは、無理をしない組織ということではなく、前に進むことを何らかの理由で躊躇している人の背中を押し、フォローすることだと感じています。実際に、管理職への道はチャレンジの連続でしたが、上司は諦めずにサポートしてくれました。「やさしさ」を持つ個人が、お互いをケアし合うことで、生き生きとしたチームになる。それが、組織の「強さ」を育んでいると考えています。

PwCコンサルティング ディレクター 福本 悠 氏
PwCコンサルティング
ディレクター 福本 悠 氏
電力、ガス、鉄道などの公益企業に対して15年以上のコンサルティング経験を持つ。経営管理・ガバナンス制度設計、組織再編、業務改革、ERPパッケージ導入など幅広い分野のプロジェクトに従事している

 私もキャリアに悩んでいたとき、キャリアコーチに相談したいと思ったのですが、カレンダーを見ると予定がぎっしり詰まっていたんです。それでも、連絡を入れると「今から15分調整したのでどうかな」とすぐに時間をつくってくださいました。「人を大切にしている」と言葉で伝えるだけでなく、目の前の人のことを大切にしているのだなと実感した出来事でした。

※キャリアコーチ:上位職階の職員が、成長やキャリア形成のサポート・伴走をする役割
 

そんな私が考える「やさしさ」とは「思いやり」、つまり自分の考えを押し付けずに、相手のことを理解しようとすることだと受け止めています。PwC は、「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というパーパスを掲げていますが、それを実現するためには思いやりが必要です。

私は、ヘルスケア産業に参入する企業の事業創出を支援しています。社会をよりよくしたいと願うクライアントをサポートすることは、生活者や社会を変えることにつながります。大きな責任を担っているからこそ、クライアントや生活者を深く理解しなければなりません。「思いやることを妥協しない」という一人ひとりの意思の結集が「強さ」につながっていると感じています。

PwCコンサルティング シニアマネージャー 辻 愛美 氏
PwCコンサルティング
シニアマネージャー 辻 愛美 氏
通信キャリア、総合コンサルティングファームを経て入社。マーケティング・セールス領域の戦略策定、業務プロセス設計、ITシステム構築に強みを持つ。直近は、他分野からヘルスケア産業への新規参入支援に関するビジネス創出にも携わる

社会課題解決と成長を実感できる環境づくりを追求

――そうしたカルチャーの中で、どのような人と一緒に働きたいとお考えですか。

 クライアントが直面する課題は複雑化が進んでおり、正解がありません。そうした意味では、コンサルタントが果たす役割も変わってきていると感じています。簡単に正解を求めるのではなく、クライアントとともにチームとして、とことん考え抜く。そのために、相手の立場に立ち、話に耳を傾け、相手が「話してもよいのだ」と心理的に安心感を抱きながらコミュニケーションをとれることが重要で、そのような方とご一緒したいと考えています。

福本 クライアントやメンバーと接する際、自分の主張を押し通し、相手を論破しようとするのではなく、相手の考えをまずは受け入れ、それに自分のアイデアも付け加えてよりよいものに育てていく「イエス・アンド」のコミュニケーションスタイルをとれる人、でしょうか。チームとして共創する一体感や、途中に苦しみがあっても成し遂げた時にクライアントからいただく感謝の言葉にモチベーションを感じられる人は向いていると思います。

谷川 PwCコンサルティングは従業員エンゲージメントが高く、私をはじめ長く在籍するメンバーが少なくありません。「自分がどうありたいか、どうなりたいか」は年齢や経験によって変わってくるでしょう。しかし、多様な経験を積み、多様な人とコラボレーションすることで自分の可能性を広げたいと考えている方に、仲間になっていただきたいです。

――最後に、PwCコンサルティングのコンサルタントとして働く魅力について、お聞かせください。

片山 PwCコンサルティングは、ソーシャルインパクトを重視したビジネスを展開しているため、自分自身の成長と社会をよりよくしている手応えを同時に実感できます。直接クライアントに提供するサービスだけでなく、国に対する政策提言や戦略的プロボノプログラムなどのプロジェクトにも多数取り組んでいます。

2024年7月には、社会課題解決に向けて、企業や行政、NPOなどさまざまな組織とのコラボレーションによりコレクティブインパクトを創出するため、Chief Impact Officer(CIMO/チーフインパクトオフィサー)を新設します。私たちのパーパス実現に向けて、組織としてさらなる強化を図っていますので、社会にインパクトを発揮する仕事をしたい方にとっては、やりがいを感じられる職場だとお伝えしたいです。

 また、若手に裁量権が与えられており、一人ひとりの潜在能力を引き出し、自分自身が驚くような成長を遂げられるよう、環境を整えていきます。