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進化の波は、ETF・先物・オプション取引へ 日本取引所グループの動きを見逃すな

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最低売買価格は数千円~3万円程度で、多くの銘柄へアプローチできる。日経平均と連動したETFなら、たとえば、日経平均が2万ならば、ETFも2万円程度で購入することができる。

「TOPIXや日経平均は、国内はもちろん、海外でも普及している指数であり、これら指数を利用したETFは東証市場でも人気の商品となっています。初心者でも個別銘柄の選定で迷うことなく、手軽に投資できることがETFの魅力の一つでもあります」(高木氏)

人気のブル・ベアは売買代金シェア80%超

つまり話を元に戻せば、個人投資家にとってのETFとは非常に扱いやすい金融商品ということだ。その中でも現在、市場を牽引しているのが、レバレッジ・インバース型ETF。12年4月に導入されて以来、現在5社による計31銘柄が上場されている。たとえば、原指数が2%上昇した日には、レバレッジ型ETFは4%上昇する。通常の2倍のリターンが期待できる商品だ。短期の値動きで利ザヤを稼げるため、国内の個人投資家ほか、海外投資家も加わって、活況を呈している。

「ブル・ベア型とも呼ばれますが、アベノミクス以降、株価が上向くとともに、取引も活発になってきた人気商品です」(高木氏)

現在、東証でのレバレッジ・インバース型ETFの純資産残高は約5000億円超と、ETF全体の約3%にすぎないが、1日当たりの売買代金シェアで見ると、そのシェアはなんと80%を超えている。

市況を反映してか、このレバレッジ・インバース型ETFは今後も多くの銘柄が登場しそうだ。7月には楽天投信投資顧問が運用する「楽天225ダブルブル」「楽天225ダブルベア」が上場する予定。同社のETFの信託報酬は、少数精鋭で運用コストを抑えていることもあり、他社のほぼ半額となる0.35%を実現させている。ネット系列の運用会社として、ETF市場初参入となり、関係会社である楽天証券とコラボレーションしたプロモーションも予定されていることから、今後の動向が注目される。

「レバレッジ・インバース型ETFは先物を利用して運用する商品で、先物市場の流動性向上にも貢献していると言われています」(高木氏)

現物市場とデリバティブ市場の橋渡し。こうした商品の登場により、ETF市場のみならず、デリバティブ市場をも活性化しているようだ。それでは続いて、デリバティブ市場の最近の動向を探ってみたい。

信託報酬0・35%の日経ブル・ベアファンド
楽天投信がネット系としてETF初参入
――今回上場される商品の特徴は。
楽天投信投資顧問
代表取締役社長
色川徹
色川 日経平均の値動きに2倍で連動し、個人投資家に人気のあるレバレッジ・インバース(ブル・ベア)型ファンドになります。われわれにとってはETF初参入ということもあり、社を挙げて全力で取り組みますし、関連会社の楽天証券では、今回の商品を手数料無料で売買できるサービスを開始する予定でいます。将来的には数百億円規模のファンドを目指したいと思っています。
――現在の市場動向をどうとらえているか。
色川 市場の購買力は非常に力強いと認識していますが、今後の株価上昇の最大のポイントはROE(株主資本利益率)の向上だと考えています。これまで20年以上、日本株は長期投資が機能していませんでした。しかし、これからROE重視の経営を進める企業群が増加することで、日本市場の体質も変わってくるはずです。たとえば米国の上場企業では、景気が好調な時には長期的に短期金利プラス10〜15%程度のROEを実現させてきました。その時々の株式の割高、割安はありますが、肝心なことは、「投下した資本に対しどれだけのリターンを上げ続けられるか」です。わが国でも、仮に毎年10%の利益が続けられれば、リターンは積み上がり、株価も上昇するわけで、今後ROE経営が恒常的になれば、長期投資のメリットもますます高まるでしょう。
――個人投資家に何を期待するか。
色川 ネット証券を通して、積立投信でコツコツと資産運用を開始する若い個人投資家も増えていますが、多くの方は分配金の高い商品、値動きが大きい商品を選びがちです。今回上場するETFは短期売買されることも見込んでいますが、弊社は短期売買を推奨しているわけではなく、さまざまな資産への長期分散投資のメリットについても訴求していきたいと考えています。短期売買であれば、自分のトレード手法を決めてそれを忠実に守るような投資をすること、そうでなければ長期的に収益が得られると思えるものを短期的な動きに惑わされることなく持ち続けることなど、方針をしっかりと定めて投資していただければと思います。
――今後の目指すものは。
色川 弊社の既存投信の運用残高は約1800億円。ネット系で初めて1000億円台を超えました。弊社の陣容は少数のため意思決定も速くコストも低い。そのため今回の信託報酬は0.35%に抑えられました。今後も自分たちの強みをサービスや新しい銘柄の開発に生かしていきたいと思っています。
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