
株式と投資信託をいいとこどりしたETF
昨年来の、いわゆる“第2弾黒田バズーカ”の流れを受けて、ETF*1の勢いが止まらない。純資産残高は10兆円から13兆円超へ、上場銘柄数も190銘柄から211銘柄(2015年4月末現在)へと伸長し、いずれもアジアでナンバーワンの地位をキープしている。
そんなETF市場で存在感を増しているのが、「個人投資家」だ。12年に17.8%だったシェアは、今年4月には37.4%へと急激な伸びを示しており、「個人投資家」の台頭が際立っていると言える。では、なぜETFは、これほど「個人投資家」たちの支持を集めているのか。
まずは、ここで一度ETFについて振り返っておこう。ETFとは、TOPIX(東証株価指数)などの日本株のほか、外国株、債券、REIT(不動産投資信託)、コモディティ(商品)などの「指数」に連動して運用される上場投資信託のことを指す。
一見、難しいように思えるかもしれないが、その最大の特徴は、「分散投資できること」だ。東京証券取引所上場推進部調査役の高木亮氏は次のように解説する。
「ETFは、東証市場で株式と同様に取引することができ、いわば株式と投資信託の“いいとこどり”をした商品です。ETFはさまざまな指数に連動するよう運用されており、TOPIXなら東証一部上場企業全体に投資するのと同じ効果を得ることができます。ETFを通じて、指数を構成する複数の銘柄に投資することになるため、投資初心者でも手軽に分散投資できるというメリットがあるのです」
むろん通常の投資信託でも、同様のインデックスファンドはあるが、こちらは特定の取扱証券会社や銀行を通してしか買うことができない。購入についても、特定日の基準価額で取引され、販売手数料もかかってしまう。
一方、ETFなら東京証券取引所に上場しているので、証券会社などを通して、株式と同様の売買手数料で取引時間中にいつでも売買することができる。信託報酬も通常の投資信託より低く、中長期での運用に向いていると言える。買い方にもバリエーションがあり、成行注文、指値注文、信用取引*2も可能だ。
*1—ETNを含む
*2—NISA口座では不可

最低売買価格は数千円~3万円程度で、多くの銘柄へアプローチできる。日経平均と連動したETFなら、たとえば、日経平均が2万ならば、ETFも2万円程度で購入することができる。
「TOPIXや日経平均は、国内はもちろん、海外でも普及している指数であり、これら指数を利用したETFは東証市場でも人気の商品となっています。初心者でも個別銘柄の選定で迷うことなく、手軽に投資できることがETFの魅力の一つでもあります」(高木氏)
人気のブル・ベアは売買代金シェア80%超
つまり話を元に戻せば、個人投資家にとってのETFとは非常に扱いやすい金融商品ということだ。その中でも現在、市場を牽引しているのが、レバレッジ・インバース型ETF。12年4月に導入されて以来、現在5社による計31銘柄が上場されている。たとえば、原指数が2%上昇した日には、レバレッジ型ETFは4%上昇する。通常の2倍のリターンが期待できる商品だ。短期の値動きで利ザヤを稼げるため、国内の個人投資家ほか、海外投資家も加わって、活況を呈している。
「ブル・ベア型とも呼ばれますが、アベノミクス以降、株価が上向くとともに、取引も活発になってきた人気商品です」(高木氏)
現在、東証でのレバレッジ・インバース型ETFの純資産残高は約5000億円超と、ETF全体の約3%にすぎないが、1日当たりの売買代金シェアで見ると、そのシェアはなんと80%を超えている。
市況を反映してか、このレバレッジ・インバース型ETFは今後も多くの銘柄が登場しそうだ。7月には楽天投信投資顧問が運用する「楽天225ダブルブル」「楽天225ダブルベア」が上場する予定。同社のETFの信託報酬は、少数精鋭で運用コストを抑えていることもあり、他社のほぼ半額となる0.35%を実現させている。ネット系列の運用会社として、ETF市場初参入となり、関係会社である楽天証券とコラボレーションしたプロモーションも予定されていることから、今後の動向が注目される。
「レバレッジ・インバース型ETFは先物を利用して運用する商品で、先物市場の流動性向上にも貢献していると言われています」(高木氏)
現物市場とデリバティブ市場の橋渡し。こうした商品の登場により、ETF市場のみならず、デリバティブ市場をも活性化しているようだ。それでは続いて、デリバティブ市場の最近の動向を探ってみたい。
楽天投信がネット系としてETF初参入
代表取締役社長
色川徹
日経225Weeklyオプション上場
昨年11月に「JPX日経インデックス400先物」が大阪取引所に上場された。JPX日経インデックス400とは、ROE(株主資本利益率)や独立社外取締役の選任状況等コーポレートガバナンスを基準にランク付けされた上位400銘柄で構成される、いわゆるスマートベータ型の指数で、日本取引所グループ(JPX)と東証及び日本経済新聞社が共同算出している。ちなみに同指数に連動するETFはすでに5銘柄が上場しており、純資産総額は4500億円を超えている。「JPX日経インデックス400先物」の一日平均取引高4万4000単位、上場来の累計取引高は500万枚を突破し、建玉残高は30万単位超で推移するなど、こちらも順調な売買が継続中だ。今年8月には同レバレッジ・インバース指数の算出も開始される見込みだ。さらに「日経225Weeklyオプション取引」も5月にスタートした。大阪取引所市場企画部課長の三木誠氏が説明する。
三木誠
「このWeeklyオプションは、中央銀行の金融政策決定会合など重要な経済イベントに迅速に対応し、より効率的なヘッジ取引やイベント・ドリブン取引*3が可能になります。毎週期日があるため、時間価値を相対的に小さく、低価格でのヘッジができるようになるのです」
導入を後押ししたのは、海外投資家のニーズであるという。このように日本取引所グループは世界の流れを受けて、金融市場のさらなる深耕を図っている。個人投資家にとっても、日々進化する金融商品は有効な資産運用のために見逃せないだろう。
*3—イベント・ドリブン取引 企業の合併・買収、再編・提携などの企業の流れを変えるイベントが発生することを投資機会としてポジションを取る運用手法

ETF/ETNの売買においては、各商品または組み入れた有価証券等の価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。
また、先物・オプション取引においては、株式相場、為替相場の変動等によって損失が生じるおそれがあり、差し入れた証拠金の全部若しくは一部を失う、または、差し入れた証拠金を超える損失を被ることがあり、相場変動等により証拠金額に不足が生じた場合には、追加の差し入れが必要となります。
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