山種美術館×國學院大學
両トップが語るMade in Japanの「グローバル力」
山﨑 当館でも外国語によるガイドツアーを行っていますが、まさにそのとおりですね。実は、今日一般に使われている「日本画」という名称は、明治以降に、西洋から伝えられた油彩画と区別するために生まれたものなのです。言い換えれば「自分とは何か」を示す言葉の一つが「日本画」だったわけです。

館長
山﨑 妙子
赤井 そのお話は、まさに「国学」にも通じます。幕末や明治維新のころはわが国がこれまで経験したことのないグローバリゼーションの時代でした。外国の学問が押し寄せる中で、日本古来の思想を尊重する「国学」を研究するために、本学の前身である皇典講究所が創設されたのです。
渋谷に根付き今後も
本物を発信していく

赤井 また國學院大學は、神道精神を研究・教育の理念としています。「産土神(うぶすながみ)」は、土地や、その土地に住む人々を守ってくださる神さまです。神道ではずっと、このような土地の神さまを大切にしてきました。
「地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業」についても、こうした精神と親和性があると考えています。また10年以上前からキャンパスのある渋谷の街を文学、歴史、社会、宗教など、多様な視点から考察する「渋谷学」を本学が展開している理由もそこにあります。社会貢献、地域貢献を重視している貴館と相通ずる部分が多いですね。地元に働きかける取り組みも進めていると聞きました。

山﨑 はい。当館でも、近隣の小学生を休館日にお招きした特別鑑賞会のほか、自治体や文化センターと協力した社会人向け特別講座なども活発に行っています。
赤井 日本画をはじめとする日本文化を都心の渋谷から発信していくことで、企業や人材が国際競争力を高めていける一助になっていきたいと思います。引き続き、互いに信念を持って本物の「学問」と「展示」に取り組んでいきましょう。