國學院大學

山種美術館×國學院大學
両トップが語るMade in Japanの「グローバル力」

拡大
縮小
130年以上にわたり「日本を学ぶ」教育を実践してきた國學院大學。同大学の赤井益久学長と、国内初の日本画専門美術館である山種美術館の館長で公益財団法人山種美術財団理事長も務める山﨑妙子氏が、日本文化の発信の重要性について語り合った。日本画や国学に興味のある人はもちろんのこと、グローバル人材を目指すビジネスパーソンにとっても大いに参考になるはずだ。
橋本雅邦《日本武尊像》(山種美術館)の前にて

新たな価値を生む
大学と美術館の連携

赤井 本学の「東京・渋谷から日本の文化を国際発信するミュージアム連携事業」は、國學院大學博物館、山種美術館、渋谷区、東洋文庫の連携事業であり、平成27年度(2015)文化庁「地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業」にも採択されました。

実は、私は毎日、貴館の前の道を歩いて大学まで通っています。まさにお隣さんとも言える距離であり、以前から何か一緒にできないかと考えていました。貴館には、フォーラムやイベント、特別展など幅広い連携事業に協力していだき、参加者からも好評です。

山﨑 当館は、創立者の山﨑種二の「美術を通じて社会、特に文化のために貢献したい」という理念のもと、日本で初めての日本画専門の美術館として1966年に開館し、来年には創立50周年を迎えます。国の重要文化財を含む約1800点のコレクションは、近代日本美術史を通覧できると自負しています。連携事業を通じ、当館に初めて来館されたというお客様も多く、感謝しています。

コアを磨き世の中に
求められる存在へ

國學院大學
学長
赤井 益久

赤井 いま美術館や博物館では来館者誘致が大きなテーマの一つになっています。その点で、早くからさまざまな施策を推進しているそうですね。大学も黙っていても、学生が集まる時代ではありません。個性ある教育と研究ができなければ存在感がなくなってしまいます。そのためにも、國學院大學とはどのような大学なのかを広く伝え、理解してもらうことが大事だと考えています。

その一つとして、私が重視しているのは、「日本を学ぶ」という本学ならではのコアを磨き、学生に本物の体験ができる機会を提供していくということです。本学の博物館は無料で開放しており、重要文化財をはじめ、展示物はそのほとんどが本物です。また、講義は再現性のないライブ、学問は知のエンターテインメントだと考えており、教員にもそのつもりで講義をしてほしいと話しています。本物の体験こそが、共感や感動を生み出していくと確信しています。

山﨑 美術館においても、かつてのように、美術鑑賞の趣味のある方だけご覧くださいという時代ではなくなっています。

当館は2009年に現在の地に新築・移転しました。建築の際のコンセプトである「上質なおもてなし」、「今還る場所」に沿って、靴音が響かない床材の使用、日本画の素材がよりよく鑑賞できる照明といった館内への工夫はもちろん、渋谷の立地にあった外観設計なども意識しました。

このほか来館者に喜んでいただけるようなイベントも多数行っています。たとえば落語家や音楽家、華道家元など、異なる分野とのコラボレーションをすることで、日本画の新たな魅力や価値を提示していく取り組みなどです。

また私自身も、SNSを活用した情報発信を積極的に行っています。日本画だから国内の方だけに向けて、という姿勢ではなく、日本画だからこそ海外の方へグローバルに、という思いで所蔵品や展示室の画像を、ネットを通じて紹介しています。

グローバル時代だからこそ
日本を知る必要が

赤井 グローバル化という言葉を聞かない日はありませんし、グローバル人材の育成も大学の役割の一つだと感じています。外国語が堪能で、積極的に海外に出て行くような人材。私はそのような人をプッシュ型人材と呼んでいます。しかし、それだけでなく、自国の文化を知りその良さを自分の言葉で発信できるプル型の人材育成も重要だと考えています。つまりインバウンドを推進できるような人材です。多様な価値を受け入れるためには、まず自分のアイデンティティ、すなわち日本語や日本文化を知っていることが不可欠なのです。

次ページ美術館が進めるグローバル化とは?
お問い合わせ
國學院大學
 03-5466-0130(広報課)
http://www.kokugakuin.ac.jp/
赤井学長によるトップ対談第1弾
「SHIBUYA CONNECT」シリーズ
>> ページを見る
赤井学長によるトップ対談第2弾
「SHIBUYA LIVE!」シリーズvol.1
>> ページを見る

特設サイト